壱陸零、《近藤孝太郎戦》弐
赤い髪をした長身痩躯の男性の見た目をした魔族がゆっくりと孝太郎へと近づいていく。
「俺らは一応同じ魔族四天王で括られてるんすけど、俺ァ、てめぇが魔族四天王になるために殺されたケルビムのことは忘れてねっから。」
【鋼鉄の鎌】
【鋼鉄の剣】
召喚される鉄の鎌と剣が衝突し合った。
何度も攻撃が重なり合う。
「アンタらがいるせいで逃げるに逃げれなかった……。本当に面倒な奴です。」
鋼鉄の剣が投げられた。
【鋼鉄の盾】
召喚される盾で剣は防がれる。
が、その隙に相手の懐まで潜り込んでいた。
【コレクション】――全『伍』固定
両手で作る数字の五。
その魔族はその場で止まった。
「くそっ、動けねぇ。なんなんだ。これ。」
「アンタは私を三回殺した……。敬意を示して、この場から消え去れ。」
数字の五が上下にスライドしていき、二の数字を象った。
【コレクション】――全『弐』斥力
強力な波動がその場に起きる。
しかし、その勢いのダメージを喰らった魔族はその場から一ミリたりとも動くことはなかった。
"解除——"!
そして、その魔族は気を失って地面に倒れ、そのまま伏せてしまった。
「だーから、言いましたのに。」
【魔導書】——『thunder』
知的な女の魔族が召喚した本と、それから空中に飛び出てきた文字。その文字をなぞっていくと雷を具現化して、孝太郎へと向かっていった。
【コレクション】――全『拾』反射
雷が跳ね返される。
【空気】——刈り取り
【真空】——序曲
その攻撃は消滅した。
そこにいるのは見るからに狡猾そうな見た目の男と、魔王だった。
そのさらに奥には、魔族の集団が目に見えていた。
【コレクション】――全『捌』ロックオン
孝太郎は手を八の形にした。
それをしようとした孝太郎を見て、魔王らはすぐさま倒れた魔族を拾ってその場から離れる。
【コレクション】――全『壱』時空斬
横振りされた巨大な斬撃が、奥地にいる魔族らを一網打尽に殺害した。
「おい、人間。ここは協力して、あの怪物を倒すぞ。」
「僕達の……味方でいいの?」
「誰か知らぬが、アヤツが『この世界を滅ぼす』ということを爆音で伝えてくれた。この世界が滅ぼされれば人間だけではない。我々、魔族も消滅する。ならば消滅されないよう倒すしかあるまい。」
「敵の敵は味方って奴じゃな。」
魔族達は対近藤孝太郎として味方として見てよさそうだ。
ただ、だからと言って「力を合わせても勝てるビジョンが浮かばないね」という状況だ。
「そんなもの考えるな。勝つか滅びるか……だ。」
【魔導書】——『Spin』
回転しながら浮かぶ瓦礫。
女の魔族がその瓦礫を投げつけた。
【周回】——追復曲
魔王がその回転の軌道を弧を描き回り出すように変化させる。
「その技ならワシのこの技で……」
【永続】
延々にその場でぐるぐるとその軌道を回り出す瓦礫。しかし、その攻撃は軽々と避けられ、意味をなさなくなった。
周回が終わり、瓦礫は落下した。
【漆黒】——夜想曲
魔王が繰り広げていく漆黒の闇。その闇が瓦礫を飲み込んでいく。
【コレクション】――半『零』浮遊
浮かぶ孝太郎。
「きはは、空はこちらの領域だ。」
【傀儡】
狡猾そうな魔族は傀儡人形を数体繰り出して、空中にいる孝太郎を襲いにかかる。
【空砲】
空気砲が放たれていった。
【交代】
が、さっきまで孝太郎がいた所に女の魔族が突然現れ、逆に女の魔族のいた場所に孝太郎が現れる。攻撃がその魔族を襲い、ノックダウンさせた。
「すまなぁーい。だから、しばかないでくれぇ。」
「この技、返すよ。」
【コピー】——空砲
狡猾そうな魔族は自ら放った空気砲と同じ攻撃をもろに喰らって吹き飛んでしまった。
【コレクション】――半『陸』エネルギー弾
さらに、幾つかのエネルギー弾が召喚され、傀儡と本体に追い討ちをかけた。
傀儡は壊され、狡猾そうな魔族はノックアウトした。
指で丸を描き、浮かぶ孝太郎。
そこに向かって魔王が攻撃をしかける。
【シュート】——嬉遊曲
闇の中に吸い込まれた瓦礫達が一斉に孝太郎向かって放たれた。
【硬化】
しかし、孝太郎はその攻撃を受けてもビクともしない。
「それで駄目なら、攻撃を固めてやる。」
【収束】——組曲
瓦礫が塊となっていき、大きくなっていく。
【シュート】——嬉遊曲
その大きくなった瓦礫の塊が放たれた。
【後退】
「させぬっ!」
【使用不可】——即興曲
「今回はそのパターンでしたか……。」
【コレクション】――全『肆』バネ
塊がぶつかる。しかし、孝太郎はバネによってボヨンと吹き飛ばされ、ダメージはあまりないように見えた。
空を飛んでいくその塊。そこに向けて手を伸ばす孝太郎。
【粉々!】
瓦礫の塊は一瞬にして、大量の粉粒へと変わった。その粉粒は意外と大きさがある。
【東風】
爽やかな風が吹いてきた。
そんな春風の穏やかさとは逆に、有り余る熱気を感じた。すぐ近くには孝太郎を倒そうとやってきた人と魔族の集団がいる。
どちらとも打倒孝太郎だが、既に孝太郎の手のひらの上にいる。
それを証明するかのように、孝太郎は少しニヤついていた。
「これはまずい!」
【エリア】エポンは領域を作り出した後、僕の目の前へと走ってきた。
【シールド】——聖譚曲
魔王は魔族の幹部を守るように透明な壁を作り出す。
「飛んで火に入る夏の虫って、まさしくこれですね。ドカン。」
【木っ端微塵】
粉粒が光り出して爆発する。強烈な爆発が人を魔族を吹き飛ばし、消滅させていく。
爆発がおさまった——。
焼け野原の上には少数の人と魔族しか残っていない。さらに、立ち迎えそうなのはほんの少数だけだった。
僕は爆発の被害をそんなに受けなかった。
代わりに、エポンが爆発の盾となってくれたみたいだ。
「安心せい、死にはせん。……が、戦線離脱じゃな。」
エポンは苦しそうにその場で足を着いた。領域の能力の効果で、ゆっくりと回復しているものの戦線復帰までは時間がかかりそうだった。
【光線】
孝太郎からレーザービームが放たれた。それが無事でいる魔王へと向かっていく。
【消滅】——終曲
魔王の付近にきたレーザーが消えていくものの、それは一時的なものに過ぎなかった。
すぐにその消滅する守りは消え、魔王は吹き飛ばされた。
「隙を見て瞬間移動する隙はありまし、実際に瞬間移動した場面もありましたが、常に魔王が付きまとい邪魔をしてきた。一対一で私は負けてきた。しかし、これで終わりですね。アナタはもう限界が近い。今なら一対一で勝てそうだ。」
限界の体のように見える魔王。それでも立ち上がる。
一方で余裕そうに立つ孝太郎。彼は頭を手で押えながら立っていた。
「貴様の弱点は脳へのダメージ。それなら諧謔曲に取り込むだけだ。」
「わざわざアナタ型の土俵で戦うつもりはありませんよ。」
孝太郎が両手で七を作ろうとしている。
つまり、瞬間移動をしようとしているんだ。
「逃がさない——!」
まともに動けるのは僕しかいない。
【バネ】
勢いよく飛び出して、孝太郎に触れる。
【シンクロ】——音楽団
魔王も何か技を放ったみたいだ。
【コレクション】――全『漆』瞬間移動
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僕と孝太郎、そして魔王は瞬間移動をした。
焼け野原となった町の風景は一転して、森の中に景色が移り変わった。
三人だけが、この森の中での戦いに身を投じた。




