20. エリスの覚悟〟
「ふ〜ん……なるほど……特に経歴にも問題無さそうだし、人材としては是非も無いよ。……ちょっとオンボロな屋敷だけど……それでもよかったら、これからよろしく!!」
「よろしくお願いします…………領主様ーー」
(この人が悪人でない事は雇われてすぐにわかったーー)
「へぇ〜、そっか……わかった。洪水被害じゃあ仕方ないよなーー。この区画の人達の今期の税は減免しようーー」
「全く……クロノさんは本当に甘い人ですね。……でも、そういうところが私は〜……」
「何か言った……シェリカ?」
「い、いえいえーーなんでも……あはは」
(私に……この人の命を奪う資格があるのだろうかーー?)
「あ、エリス。食器の片付けは俺がやっておくから……いつも洗ってもらって悪いなーー」
「いえ……これが私の仕事ですのでーー。片付けも私が致しますので、領主様は座ってお寛ぎくださいませーー」
「好きでやってるんだから、別にいいよーー」
(私には、この人達の傍にいる資格は無いーー)
「これだけ……ですか?」
「ああ?薄汚い〝ハーフエルフ〟にはそれで十分だろうが!?」
「…………ですが、依頼前には銀貨三十枚は確約するとーー」
「うるせぇっ!!」
「っーー!!」
バシンッーー
(私には……生まれた時からこの世界に居場所なんてなかったーー)
「〝ミミナシ〟ーー」
「純潔を穢したハーフエルフの恥ーー」
「かわいそう……あの子の両親、あの子を置いて蒸発したって噂よーー」
(いつも私だけが……里のみんなから白い目で見られる)
「ふ〜ん。〝ミミナシのハーフエルフ〟ねぇーー。」
「お願いしますーー。私に仕事をください!!」
「そんな頭をさげられても……変に〝ミミナシ〟と仲良くしてエルフの一族から反感を買ったら、こっちも商売上がったりだし……悪いね」
(誰も……この世界に私の味方はいないーー)
「お前が〝ハーフエルフ〟だってな!?ずっと俺たちを騙して裏で笑ってたのか!?」
「違うーー私はそんな事ーー」
「言い訳なんていらねぇ!薄汚ねぇ魔族がーー二度と俺たちの前に姿を現すな!」
「あたし〜、ずっとコイツ怪しいと思ってたんだよね〜。魔法の腕がそこそこいいからって調子乗っちゃってさぁ〜」
「う〜わひっど〜……同情の余地なしかよ。……まぁ、俺も同意だけどーーはははっ!」
(もう何を信じればいいのか……わからないーー)
「ほう…………〝暗殺者〟かーー。いいだろう。仕事をこなすなら料金は弾む。……くれぐれも、私の名前は口外するなよ?」
「…………承知しておりますーー」
〝ミミナシ〟はハーフエルフにしか生まれないーーいわばエルフの血を穢した証しなのだーー。
里にもいられず、魔大陸からも居場所を失った私は、人間のフリをして生きる事にしたーー。
でもーー聖大陸は魔大陸よりも……私にとっては地獄だったーー。
ハーフエルフだと言う事がバレれば居場所を追われ、食べるものにはいつも苦労をしたーー。
報酬は亜人だからと足元を見られ、買い物一つ宿一つ他よりも上乗せで取られる……。
人を信じられず、〝穢れていく〟には十分すぎる仕打ちだったーー。
《エルフの加護》がある自分がそう簡単に死ねないと知った時はーー絶望した。
信頼は簡単に裏切られ、人としても魔族としても扱ってもらえない、住む場所を失っても悲しむ者はおらず、なのに死ぬ事すら許されないーー。
私の心はーーいつの間にか壊れていったーー。
依頼があれば人を殺すーー簡単な事だったーー。
闇の世界は〝信用第一〟だ。
報酬を渋れば力で容赦なく脅しかける事もできた。
己以外の誰も信じるなーー。
それが、生きるために必要不可欠な真理だったーー。
欺かれ、裏切られ、嘲笑われ、苦しみ、痛み、悲しみ、恨み、絶望するーーそんなのは虐げられる弱者しか感じ得ない感情だーー。
ただ機械のように仕事をこなし、流れるように命を刈り取る。
どれだけ目の前の者が血を流そうが、叫んで命乞いしようが、何も感じなかったーー。
依頼者の情報さえバレなければ何をやっても許されるーーそれが、〝暗殺者〟としての私の仕事だったーー。
今回の暗殺も簡単だと思ったーー。
人を簡単に信じ込む愚か者。毒を入れる機会なんていくらでもあったーー。
懸念は傍によくいる《鑑定者》の女一人と、〝帝〟の称号を持つ師範の剣士一人……それも信用を得る事は容易かったーー。
もともと素性を隠して人里で過ごした時間は長かったのだからーー感情を読ませない振る舞いに対しては自信があったーー。
なのにーー何故か殺せなかったーー。
子供だから?信頼してくれているから?この居場所が心地よかったから?
……正直わからない。
この子供がーーこの領主が何を考えているのかがわからない。
きっとこの子も同じだーー私がハーフエルフだとわかればすぐにこの屋敷を追い出すのだろう……。
この子の父親も残酷だーー。我が子に対して暗殺者を仕向けるなんて、正気の沙汰ではないだろうーー。
でも、同情の余地は無いーー。この依頼を達成できれば私は……これから先働く事をしなくても大金を得られる。
そうすればもうきっとーー誰とも関わらず、誰にも蔑まれず、ひっそりと余生を送れるのだろうーー。
果たしてーーこの子供の命は……〝私なんか〟が奪って良い命なのだろうかーー?
私の未来のために……今ここで散らしていい命なのだろうかーー?
生まれを呪い、一族を呪い、故郷を呪い、人を呪い、自身を呪い続けた私なんかとーーこの子の未来の価値が同じはずがないーー。
同じような境遇を生きたこの子は、誰かを憎む事も、誰かを羨む事も無く、穢れることを知らずに今を生きている……。
自身よりも下の者達に……これほど頭を下げられる貴族が今の世にどれだけいるのだろうかーー?
『屋根が壊れたから直して欲しい』という老夫婦の申し出に無償で尽力したり、領主という立場にも関わらず天災に巻き込まれれば租税を免除する。
私みたいな穢れた心を持っている者ならば、皆が言うだろうーーそれは〝偽善〟だとーー。
下の者達を助けてその快感に浸るーー〝自己満足の正義〟だと……。
でもーー、本当は気づいているはずだーー。
その優しさは、その慈しみは、その温かさはーー私がずっと欲しかったものだとーー。
正直に言ってしまえば……お金なんていらない。
何も感じない未来なんていらない……。
一人ぼっちの……何かを呪い続ける人生なんてもういらない。
私はただーー誰かに慰めて欲しいだけなんだ……。
誰かに抱きしめて欲しいだけなんだ……。
この子に……『ずっとここにいていい』とーー言って欲しかっただけなのだーー。
……………………。
ガチャリーーと、シェリカが扉を閉めたーーその直後。
再び時間の動き出した二人の沈黙を、クロノが打ち破る。
「エリス……君にはまだ聞きたい事があるーーどうして俺を殺す必要があったんだーー?」
「……………………」
(もう……いいかもしれない。私はもうーー疲れた。……人を殺す事も、苦しみながら生き続ける事も、……この子に殺意を持たなければならない事もーー)
「…………私は、〝ある人〟の依頼であなたを殺しに来ましたーー。あなたのよく知る人物……。あなたの実の父君ーーアルメテウス様ですーー」
「っーー!!……やっぱり、そうかーー」
どこかで悟ったような表情を見せるクロノに、驚いた顔のエリス。
「……なんとなくこう言う日は来ると思っていたよーー。……そうかーー父様がーー」
「…………領主様ーー」
(この人は、一体どんな思いでここに来たのだろうか?……私と同じ……追われた境遇なのに、私以上に……辛いはずなのにーー何故ここまで強くいられるのだろうーー)
エリスは不思議に思いながら、クロノの前に跪いて嘆願する。
「お願いします……クロノ様。……どうか私をーー殺して頂けないでしょうか?」
「っーー!!……どうしてーー?」
クロノはエリスから奪ったナイフを握りしめて、悲しそうに問いかける。
「もう私には……生きる気力がありません。生きる意味も……きっとーー。〝暗殺者〟は依頼主の情報だけは喋ってはならない禁を……私は犯しました。なので、せめてあなたの手で私の命を断ってくださいーー」
「…………エリスーー」
皮肉にも、今までで一番ーー今の二人が傍目には従者と主の関係に見えた。
死を望む従者と……従者の生を望む主。
両者の間には、途方もなく深い溝があったーー。
そんな……意識が集中する一瞬……ほんのわずかな刹那の間。
クロノは視界に映るエリスの先に捉えたーーもう一人の存在に気がつく。
「っーー!危ないーー!!」
一瞬でも反応が送れれば一体どうなっていたことか。
クロノはエリスを押し倒し、間一髪で窓から侵入した者の攻撃を交わす。
「ぜぇぇぇぇやぁぁぁぁぁーー!!」
「っーー!!領主様ーー!!」
庇う形になったクロノの背を、剣で切り込もうとする刺客に対して、今度はエリスがクロノを守る。
「〝風の導きよ・我らに加護を〟ーー!!《風壁》!!」
スカンッーー、と刺客の一撃がエリスの風魔法で塞がれる。
「〝《ポイズン》〟!!」
即座に体勢を立て直したクロノは、スキル《ポイズン》で周囲に毒を撒き散らす。
がーー、それは避けられ、クロノは刺客の足蹴り一つを食らって扉に大きく叩きつけられた。
「がはっーー!!」
「領主様ーー!!っ!!」
クロノを心配するエリス。そこに生まれた一瞬をついて、再び刺客がエリスの方へ接近する。
「っーーエリス!!」
クロノの叫び声は……空虚へと消えゆく。
(今ーーここで命を落とせば……終われる。やっとーー私の人生が……でもーー)
エリスは一瞬、クロノの方を流し見る。
とても悲痛な表情で心配するーー主の顔をーー。
(どうしてあなたはーー先程自分の命を狙った相手に、そんな悲しそうな顔ができるんですか……?……どうして、穢れた血の……〝ミミナシのハーフエルフ〟である私に、そこまで心配してくれるのですかーー?どうして……?)
目を閉じて、エリスは諦観したように微笑みを溢す。
(ああ……そうなんですね。……これが、〝誰かに想われる〟ってーー事なんですね。たかが会って数日の従者一人を、そこまで大切にしてくれる。これがあなたという人なのですねーー。死が目の前に差し迫っていうというのに……こんなにも穏やかな気分でいられるーー。これが、〝愛される〟という感情なのですねーー。……願わくば、もっと早くーーあなたに会いたかった……領主様ーー)
そう……諦めかけたエリスだったが、クロノは一瞬たりとも目を離さなかった。
(落ち着け……落ち着け……!!どうすればいいーーこんな時、先生ならどうする!?)
クロノは思い返すーーエドワードが今まで何を言っていたのかを。
(俺に……俺に何ができる!?今のこの状況で……一体何が!?ーー!!)
『スキルはーーその使い方を知って初めて真価を発揮するーー』
「そうだーースキルは持っててもダメだ!瞬時に使い分けができないと……俺に何が!?」
クロノの持っているスキルは七つ。
一つ目は《未来眼》、二つ目は《天啓眼》、三つ目は《隠密》、四つ目は《言語翻訳》、五つ目は《ポイズン》、六つ目は《睨みつけ》、七つ目は《盗賊の申し子》。
今の状況で使い物になるのは四つ。それを順序良く、かつ的確に使用しないとエリスは救えないーー。
(まずは《隠密》で姿を眩まして動揺させてーーいや、今この状況で俺一人気配を眩ませたところで大して意味はない!!これじゃあダメだ!!)
《隠密》は今は使えない。
(一瞬気を引くーーそれが求められる今この状況で最適なのはーーこれだ!!)
「〝《睨みつけ》〟!!」
「っーー!!」
一瞬、刺客の行動が怯む。
その刹那を狙ってーー、クロノは二人と距離を縮めた。
直後、硬直状態の溶けた刺客の剣が、再びエリスを襲う。
しかし、クロノはわざとわかりやすく懐から短剣を取り出した。
「〝《隠密》〟!!」
「っーー!!てめぇも〝暗殺者〟か!!」
(よしっ!奴の意識がこっちに集中し始めたーー)
動揺を誘ったクロノはすかさず、刺客の首を目掛けて短剣を振るう。
《隠密》の効果も相まって一瞬でカタがつくーーかに思えたが、
「へっーー〝殺気〟がダダ漏れだぜ!!」
器用に体勢を捻った刺客はクロノの一撃を交わした。
「……それくらい知ってるよ。さんざん先生に言われて来たからな!」
《未来眼》で行動を先読みしたクロノはーー、飛び出した形で宙に浮く自身の股間から刺客の顔を目掛けて短剣を投げつける。
もちろんーー回避先まで予知した前提で。
「ぐっーーあああああああっ!!」
「チッーー外した……」
ギリギリで狙いがずれたか、あるいは死を直感した刺客の回避能力が上回ったからか、頬に短剣が刺さった刺客は紙一重で死を免れたーー。
しかしーークロノは短剣を失った上に、宙ぶらりん状態で無防備だ。
「このガキィィィィィィッ!!」
刺客がクロノを切り付けるーーその瞬間。
「武器は……一つじゃ無いんだぜ!〝《ポイズン》〟!!」
血が上って攻撃が単調な所を、刺客の頬ーー短剣が刺さった傷口目掛けて《ポイズン》を可能な限りゼロ距離で発射する。
「ぐっーーああああああああーー!!」
「嘘っーーマジか!!」
顔に毒を浴びながらも、血相を変えた表情で近づく刺客を前に、あぶら汗を滲ませるクロノ。
「終わりにしてやる…………〝《無影斬》〟!!」
刺客のスキル《無影斬》。剣戟のような鋭い攻撃を影に乗せて操る技だ。
乱れるような攻撃を前に、クロノは《未来眼》でギリギリを回避する。
「このままじゃジリ貧だーー。っーー!エリス、危ないーー」
先程から地べたにへたり座っていたエリスは、ずっとクロノと刺客との戦いを見ているだけだったーー。
「えっーー?」
それ程までに濃縮された時間の応酬ーー故に、気が動転して体が思うように動かないエリスは避けられず、ただ呆然と座り込んでいる。
「っーー!!しまっーー」
ブシャッーー!!
《未来眼》で予知した行動ーー故に的確。しかし、代償で負った傷は決して浅くは無かったーー。
「っーー領主様!!」
「ぐぅっーー!!」
斬撃で飛ばされたクロノを、エリスが抱き止める。
「領主様……はっーー!!」
ポタッーーポタッ、と背を切られ血を垂れ流すクロノ。
いくら鍛えようと、子供の体にはその一撃の負担はあまりにも大きかった。
「っーー!!領主…………様?」
エリスは、目の前で血を流す子供の背に守られて、なんとか無傷を保っていたーー。
「大……丈夫、か?……エリスーー」
「領主様…………何故……一体何故?」
悲痛に顔を歪めたエリスは、その青い瞳からポロポロ、と涙を溢す。
窓から吹く風がーー彼女の銀色の髪を優しく撫でた。
「君、はーー《エルロード家》の従者だ。……従者を、守るのもーー領主の役目……だろ?」
「っーー!!」
微笑み一つ溢して……そう言って安堵したように、エリスの胸で気を失うクロノ。
「…………あなたはまだ、私を……〝従者〟と呼んでくれるのですか?…………こんな私をーー」
ポロポロッーー、と小さく涙を溢しながら、エリスはクロノの小さな体をぎゅっと抱きしめて、唇を噛む。
「チッーー。シャクに触る小僧だ。ーーああクソッ!!……まぁいい。〝あの方〟の命令ではこの小僧の暗殺が最優先だ。……こいつは後回しでもーー」
今のエリスには、目の前の刺客の言葉は耳に入らない。
故にーーエリスは、問いかける。
何故ーー目の前の子供は倒れているのか。さっさと逃げて〝剣帝〟に助けを求めれば死ななかったのに……と。
エリスは、問いかける。
何故ーー目の前の子供はここまで自分を守ろうとするのか。……ただの仮初の主従関係にしか過ぎなかったのにーーと。
エリスは、問いかける。
何故ーー私は生きる事を諦めてしまったのか。この小さな子供はあんなに必死になって助けようとしてくれていたのにーーと。
たかが従者。
たかがメイド。
たかがーー〝ミミナシのハーフエルフ〟。
エリスはーー初めて知ってしまった。
〝己が傷つく事〟と〝大事な人が傷つく事〟では、感じる情が全く違うものである事をーー。
故にーー、彼女は目が覚める。
〝私はまだーー死んではならない〟ーーと。
「……一体…………お前は、誰に手を出しているんだーー?」
「ああーー?っーー!……お前…………」
先程とは打って変わって酷く冷たい青い瞳をしたーーエリスの表情を見て刺客の顔色が変わる。
クロノが自身を庇うまで、生きる事を諦めていたエリスはかつてーー冒険者時代の〝戦闘の感覚〟を思い出す。
まだ穢れていなかったあの頃ーー本気で人と仲良くなれると信じていたあの頃の感覚……生死を分かつ極限の緊張状態での感覚。
その感覚がーーエリスに激しく責め立てる。
〝戦え〟ーーと。
静かにゆらゆらーーと、立ち上がるエリスはクロノのポケットから渡したナイフを抜き取る。
その構えを見てーー刺客も頬の短剣を抜き取って本気の姿勢を構えた。
「俺様はなーー数多の上流貴族の依頼でずっと何人も何十人も殺してきたーー〝生粋の殺し屋〟なんだよーー?おめぇみてぇな、金や情でほいほい絆される尻軽のハーフエルフとは違ってなーー。まぁ、安心しろや。……おめぇを片付けて死にかけのソイツもさっさと殺してーー二人仲良くあの世で会わせてやるからよぉっーー!!」
死ねぇぇぇぇ!!と叫んで剣を振り翳す刺客を前に、エリスは不動で構える。
「〝《精霊よ・かの者に裁きを》〟ーー」
エリスは《精霊魔法》で、刺客に無数の切り傷を与える。
「っーー!!《精霊魔法》ーーだと!?」
精霊魔法ーーエルフの一族でも限られた者にしか扱えない、《エルフの加護》を持つ者特有の魔法である。
守護魔法に特化しており、先程の攻撃は侵入者が近づけば近づく程大きなダメージを与える《慈愛の裁き》と呼ばれるものだ。
「そう……穢れたわたしにも、まだ〝あなたたち〟は力を貸してくれるんですねーー」
無表情だが、どことなく嬉しそうなエリスの発言に、周囲の精霊たちが輝いて応える。
エリスは完全に立ち直り、横たわるクロノを背に戦う。
その藍色の瞳にーーもう迷いは無かったーー。
(私はもうーー逃げません。〝領主様〟に守って頂いたこの命……ある限りーー)




