14. スキル
(奴は間違いなく格上だーーそもそも、子どもどころか大人ですらどうこうできるものじゃ無い……アレはーー)
シユウの〝厄災〟の持つ力なのか……あるいは命懸けで戦う覚悟を決めたが故の〝勝負勘〟なのかはわからないがーーシユウの脳裏にはたった一つの言葉だけが思い浮かんでいたーー。
『あいつの動きに気をつけろ』ーーと。
間合いに入ったのかーー一気に距離を詰めてナイフを下から掻っ捌く。
が、刹那ーーシユウは《未来眼》で見た光景を避けるように体をのけ反らせる。
(嘘っーー!?見える視界と《未来眼》で見る視界が殆どラグが無いなんてーー!!……なんて速さなんだっ!!)
その後もカキィィィン、カキィィィン、と甲高い金属の擦れ合う音が谷間に響き渡りながら、戦闘が続行される。
「やっぱりテメェーー何か隠してやがるな!!〝スキル〟をぉっ!!」
ぐっーーと《未来眼》で対応しきれなかったジェノのキックがシユウのみぞおちにハマる。
「ぐっーーはぁぁぁっ!!」
ゴロゴロッーーと転がりながら、腹を抱えて血反吐を吐くシユウ。
大人と子どもの戦いーーそれはあまりにも残酷というものだったーー。
「オレは元・冒険者の〝Aランク〟だからなーー。相手の動きをちっとみりゃあ分かるんだよーー。スキルを持っている奴とそうで無い奴の差ってのがなぁーー。」
「ハァ、ハァ、ハァ、ハァーー〝スキル〟ーー?」
確か聞いた事があるーー。ごく稀に、〝スキル〟と呼ばれる特殊能力を持って生まれた人間がいるとーー。
後天的にも開花する事のあるこのスキルは冒険者としてのランクにも大きく作用するーー。つまりーー
(奴もまたーー〝スキル〟を持っているのかーー!!)
「くっーー!!」
再びジェノがシユウまで距離を詰めるーーが、しかしーーそれを間一髪のところでシユウがナイフで受け流した。
「おっとーーこれもかわすかっ!!」
ジェノはまだ本気では無いのだろうが……それでもシユウはギリギリジェノの攻撃を全て捌ききっていた。
「普通の人間ならありえねぇ事だ……。飛び抜けて大した能力があるわけでもねぇ……、幼少の頃から地獄のような鍛錬を積んだわけでもねぇ……、にもかかわらずその余裕の表情だーー。〝何らかのスキル〟を隠し持っていると疑うのは当然だろうーー」
一言一句、ジェノの言う通りだったーー。
シユウはスキルを隠し持っている。《未来眼》という、敵の動きをある程度予知して行動を先読みする能力だ。
だからこそーー、自身の最大の強みでもあるこの《未来眼》を知られる訳にはいかなかったーー。しかしーー
「面白い……。ならば特別に見せてやろうーーこのオレの〝スキル〟をなーー」
その事葉を皮切りに……ゆらゆら、とジェノの体が煙のように消え去っていくーー。
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