第51話〜過去〜
はるか昔……
遠い彼方の銀河系で…
或る惑星に黒い物体が飛来した。
惑星に存在するのは空気だけ。
その空気も、まるで意志を持っているかのように、黒き物体を避けていた。
やがて……
黒い物体は巨大な生物となり、現れた。
それは、かつて銀河を恐怖と絶望に陥れた生命体であった。
そして、そいつの名は…古代語で〈混沌〉を意味する。
〈混沌〉は惑星上を暴れ回り、破壊していった。
またある時黒い物体が飛来した。だが、今度のそれは〈混沌〉ではなかった。
それはまだ、この世界が誕生する前に存在したという原初の生物、ショゴスだった。
ショゴスは長い年月をかけ進化し、ある人間となったのだ。
その人間は知恵を得て、文明を築いた。しかし……
人間は、自分たちこそが全宇宙の支配者であると思い込み、他の種族を見下すようになった。
その結果……
人間は、自分たち以外の全てのものを迫害し始めた。
一方、〈混沌〉もまた、自分の力を増大させようと、人間たちを襲い始めた。
こうして、人間及びショゴスと〈混沌〉との対立が深まっていった。だが、対立しているだけでは意味がない。
そこで、両者は休戦することにして、話し合いの場を持った。
その結果、互いの領域不可侵条約を結ぶことになった。
それから約三千年後……
ついに〈混沌〉が復活した。ある1人の人間として。
〈混沌〉は、人間を襲いはじめた。
やはりショゴスも生きながらえておりある1人の人間として復活していた。
〈混沌〉とショゴス、2人の対立は止まることなく、加速し続ける…
◆ ◆ ◆
神は傍観していた。
干渉することは容易だが世界の辻褄が合わなくなる。
誰かに寄生し、〈混沌〉の暴走を止めるのが吉か。ショゴスに任せるのが吉か。どちらにせよ、肉体が必要だ。
ならば――――。
神も■■■として生きていた。
つまり不可侵条約から三千年後、神も地上にいるのである。
タケノコガールとワキガの仲は良好なのか険悪なのか。
「……で、何の用なんだよ」
「えっとね、聞きたいことがあるんだけど――」
「断る」
「ちょっと! まだ何も言ってないよ!」
「どうせ『今日の脇は臭い?』とかだろ?」
「うっ……」
図星か……。
「で、でもさ、聞いてくれるだけでいいからさ。ね? お願い」
両手を合わせて懇願してくるタケノコガールを見てワキガはため息をつく。
「……わかったよ。聞くだけならな」
ワキガがそう言うとタケノコガールはぱあっと表情を明るくし、「ありがとう!」とお礼を言う。
そしてワキガに質問を投げかけてきた。
「あのね、前会ったときからずっと気になってたんだけど……キミって本当に男なの?」
「ああ、そうだぞ」
「じゃあ証拠見せてよ」
「証拠?」
「うん。証拠を見せてくれたら信じるよ」
……まぁ別に減るもんじゃないしいいか。
「ほれ」
そう言いながらワキガは裸になる。
するとタケノコガールは驚いたような顔を浮かべていた。
「……」
無言のままじっと見つめてくる。……そんなに見つめられたら恥ずかしいだろ。
「おい、何か喋ってくれないと困るんだが……」
「ごめん。ボクもここまでとは思ってなかったからびっくりしてるんだ」
「そこまで驚くことか?」
「黄色いシミの量と匂いが、ね…」




