レンフィーの記憶
あ
レンフィーが歩いて少ししたところにあるドアに入るのを見て連なって入っていく。扉を開けるとそこにはクロードの身長より高いゲートが目の前に現れる。
「その装置の前に立っておけば元の時代に戻れるじゃろ。今後会うことはもうないじゃろう。お別れじゃ。」
「これでやっと帰れるのか…早く入ろうぜ!」
帰れる安心感からかウィルが一目散にゲートに向かい、三人を呼ぶ。警戒して一歩も動かないユーリとリーンに先に行くよう言い、踵を返してクロードは三人から見えない位置でレンフィーに質問する。
「レンフィーさん、何から何まで面倒を見てくださりありがとうございました。しかし申し訳ないが先程の話が仮に本当だとしても会話だけでは到底信用出来ない。一度記憶を見させてもらってもよろしいでしょうか?」
レンフィーはだるそうに対応していたが、クロードの記憶を見るという発言に驚いた様子で見つめる。
「お主アレを使えるのか!?…それならば見るがよい。妾の言ってることがはっきりするじゃろ。」
「えぇ。では、見させてもらいます。」
クロードがレンフィーの手を握ると二人は意識を手放し、レンフィーの記憶の中に入っていった。
記憶の中を探ると今まで話した部分が全て一致してることが分かりクロードは納得した。しかし…
「今まで使ってきた黒い炎が魔王の魔力だったとは…」
クロードが使ってきた黒い炎が魔王の力とこの目ではっきり見たことで驚きを隠せず、そのことでレンフィーに警戒されてしまい自身の黒い炎を出して記憶の中にある炎と同じであることを見せた。それを見た途端にクロードに突っかかり凄んだ表情で壁に押し付け首を絞める。
「…お主どうやってその力手にした?発言次第ではお主を封印しなければならん。」
「ぐ…私の兄が昔禁忌の書本を手にしたことでこうなった…!好きでこの力を手にしたんじゃない…が…」
キリキリと力の入った腕に抵抗できずそのままバタつくが、何とか声を振り絞り理由を話すとその場で意識を無す。が、すぐさまレンフィーが魔法をかけて気付けしすぐに目を覚ます。
「ゲホゲホ!(なんつー力だ!不死とはいえ神話時代生きてた人々はこんなにも強いのか!)」
いつの間にか力は抜け、手を放すとクロードの目を見つめながら話す。
「…お主は支配されておらぬのか。なら話さないといかんな。あの戦いの後で分かったとこなんじゃが魔王はある者の代理に過ぎず、その魔力は魔王より上位の存在が扱っておった閻魔の獄炎じゃ。その炎を持つ者は魔力そのものを阻害、吸収等思い通りに出来る人知ならざる力を手にするが、その存在に全てを支配され目的を果たすための人形に変わり果てる。例え死んだ者でさえな。」
その話に驚くクロードだが、その言葉に一つの疑問が浮かんだ。
「一つ確認したいことが、私の他にその支配から解き放たれた人はいたんですか?」
「おった、妾が知ってる限りじゃとお主を含めて何人かは。じゃが碌な死に方じゃなかったの。いずれお主もそうなるじゃろ。」
「そうですか…」
「……」
「……」
「…では」
「ま、待ってくれんか!」
重い空気が二人を包み何も返事もないまま沈黙が流れ、いたたまれずそのままクロードが三人の元に向かおうとするとレンフィーが止める。
「さ、さっきは悪かったの…すっかり忘れておったが渡したい物があるゆえ少し待ってはくれんか?」
「え、えぇ…」
レンフィーが何かを唱えると光の粒が集まっていき、チェーンが付けられた何かが姿を現す。それを浮遊させながらクロードに渡す。
「これは?」
「魔導具︙「過去を巡る懐中時計」妾の友が最後の別れの際、未来に渡してくれと頼まれたものじゃ。受け取ってくれんか?」
クロードが魔道具を受け取ってそれを開けて見ると針が動いていなかった。試しに魔力を込めてみるが反応は無い。
「…見た限り壊れているようですが?」
「ある条件のもと動くとは言ってたが…それが何なのかを教えてくれんかったの。けど壊れていないのは妾が保証する。見た目反応しておらんが内部の回路は生きておって条件を満たせば動くとは思うがの。」
「分かりました、受け取ります。」
その返事のすぐに部屋からさっきとは違う音が響いた。クロードがレンフィーを見ると滝汗が流れているのが見えた。
「いかん、普段より結界の修復が早い!そろそろ時間じゃ!早う入らんとまた閉じ込められるぞ!」
(また閉じ込められられる訳にはいかん!けど…修復するならもっと早く言ってくれよ…)
それを聞いたクロードはレンフィーに急かされながらもゲートに向かった。




