最奥へ (2)
歩くこと一時間、ただひたすら長い一本道を進む。しかし、変わり映えもしない風景に重い空気が四人を包み込む。
「…先生、なんかずっと歩いてるのに終わりが見えてこないのですが…」
「何も変わらない一本道、それに等間隔で空いてる穴、外は見えても廃墟した村が見えるだけ。既に何回か見てるよ。」
「それってつまりループしてるってことか!?」
「ではループしてないかどうか目印付けて行ってみたほうがよろしかったのでは?」
「いや、厳密に言えばループはしてなさそうだ。外に見える村、穴一つを一つの区画として考えると十の区画を過ぎると最初に戻ってはいる。これだけならループしてると言えるけど…最初は建物なのかどうか判別出来ない位ボロボロだったけど今は辛うじて建物に見えなくもない。一つ試してみるか。」
クロードはカバンから空き瓶を取り出して道の真ん中に置いておき、火魔法の炎を空き瓶の上で維持させた状態で先に進む。いくら進んでも空き瓶は見当たらず、魔法も途切れずに維持されてる感覚があった。外に見える村も綺麗になっている。来た道を戻っていると、空き瓶と炎が維持された状態で残っており、綺麗になっていた村もボロボロになっている。
「うん、ループしてなかったね。推測だけどここは多分過去に進む道になっているんだと思う。外を見れば分かるけど進むと家が巻き戻しのように綺麗になっているし、戻るとボロボロになってるから信憑性は高いよ?」
「じゃあ入り口が消えたり壁が戻ったりしてんのはどう説明してくれんのか!?」
ウィルの問いにクロードは一つの仮説を立てて話す。
「原理は分かりません。ただ一つ言えるとしたらここは迷宮ではなく何かしらの意図をもって作られた古代の空間ってこと。こんな芸当ができるのはある種族しかいませんが…」
「耳長族…時空間を扱えるあの種族なら簡単な事ってことですよね?」
クロードに合わせてユーリが答える。
「そういう事。となると厄介なのはこの道が何処まで続いてるのかっだ…いつかは何かにたどり着けると思うけど、それがすぐなのか、半日後なのか、はたまた二日後になるのかが分からないんだ。」
「…希望もクソもねぇ」
「それでも、立ち止まっているよりは先に進んだほうが良いと思います。」
「リーンの言う通りだ。ここで立っているだけでも体力が無駄になる。なら先に進んで何があるのか見てみよう。」
話を終えて四人は歩きだすが十分、二十分と歩き続けても終わりは見えない。休憩をはさみながら歩くこと三時間、四人は終わりを告げる壁を見て頭を抱えた。
「なに…これ…?」
(参った。行き止まりでただの壁か…にしては何でここだけ窪んだような地形になっているんだ?)
「塞がってるじゃねえかよクソが!!洞窟に入るんじゃなかった!!」
ウィルの心の中に溜まった怒りが爆発し、怨嗟の声が響く。暫くして落ち着くとその場に座り込み、かすれた声を出す。
「一回休憩にしないか?疲れてもう動けん…」
「そう…ですね。なら一息入れる前に周りに罠がないか見てからにしましょう。安全を確保しておけばいくらでも休めますので。」
「はは、確かにその通り。そんじゃ、行ってくるよ。」
「私もお手伝いします!」
「私が行くからユーリはリーンとここで待ってなさい。」
(ここで罠を踏もうものなら逃げ切れる保証は無い。ユーリは抜けてるとこがあるからうっかりでやりかねん…)
「…分かりました。すぐに休める準備はしておきます。きゃ!!」
ユーリが荷物を取り出そうとした際に転んでしまい、中身をこぼしてしまった。それを拾おうと手のひらが地面に触れた瞬間、魔法陣が浮かぶ。
「「「「え?」」」」
全員が呆気にとられていると風が吹き始め、咄嗟のことで誰も反応できずに段々と魔法陣に吸い込まれていく。
「「「「あああああああああ!!(いやあああ!!)」」」」
何かに引っ張れるかのようにトンネルの中のような道を、クネクネと曲がりながら落下してゆく。そのまま地面に叩きつけられた四人は、痛みのあまり気を失ってしまった。
(う…ここは何処だ?)
クロードが目を覚ますと傍に人の足が見えた。しかし、そこにあったのは他三人とは違う足であった。
「なんと、生きておったのか…お主ら何者じゃ?」
ローブを纏い、フードを深くかぶった人物がクロード達を見下ろしているのだから…




