最奥へ
(ハア…やっと着いたか…)
洞窟内が罠だらけもありこれまで少し進むのにかなりの時間を要したが、ウィルと同行することによってすんなりとはいかない程だが今までより労せずに目的地に着くことが出来た。ただ道中全ての罠を避けることが出来なかった為、それぞれ服のあちこちがボロボロになってしまった。
(ウィルさんが最前列で罠を発見してくれたからこの被害で済んだが、どうにも負担が大きすぎる。かといってここで休もうなら罠の嵐で全滅だ。どうしたものか…そういえば!)
クロードが周りに気を配りながら考え込んでいると、村外れの老人から貰った小さな欠片を思い出し、懐から取り出して手にかざして考え込む。
(あのご老人はこれを鍵と言っていた。最初洞窟に入るのに使うのかと思ってたけどそのまま入れたから違ってたな。うーん…待てよ?地図だとここが最奥になる場所だ。仮に奥に続く扉みたいなものがあったとしても…無理だ、壁が歪すぎて見分けがつかない…)
クロードは集めた情報を頭の中で整理していると、はっとした表情を浮かべて罠に注意しながら壁に向かう。触ったり叩いたりして確認すると地図と形の違う場所は周りの壁と比べ、壁の色が薄いことが分かった。
(ここだ!壁の色がほんの僅かだが違う!)
「リーン、ちょっと手伝ってくれないか?」
「良いですが…何をお手伝いすればよろしいのでしょう?」
「さっきみたいにこの壁を思いっきり壊してくれ!」
「あれだとまた…」
「ここの壁ほんの僅かだが色が違う。推察が正しければ壁が元通りになることはない!頼む!」
「…はあ、そこまで言うのであれば。では少し離れてくださいませ。」
さっきと同じ事になると思い渋ったリーンだが、クロードのお願いにため息を吐きながらも壁の前に立つ。リーンの行動を察したユーリがウィルを避難させる。
「おい、何が始まるんだよ!」
「危ないので離れないで下さい!!あと後ろ向いててください!!」
「ちゃんとせつめ…」
「すぅ〜…はあぁ!!」
「うわぁ!!」
拳に込められた魔力が打撃と共に解き放たれ、轟音と閃光が辺りを包み込む。光が落ち着き、ゆっくり目を開けると壁にヒビが入っており、リーンが軽く押すとガラガラと音を立てながら崩れ落ちてゆき、奥から白く重厚な扉が姿を現した。少し待っても洞窟に入った時とは違い壁は元に戻ることはなく、予想通りの結果にクロードは安堵した。ウィルが倒れている点を除いては…
「痛ってぇ!!いきなり何すんだ!!目開けられねえじゃねえか!!」
「(だからユーリが忠告したのに…)回復薬を渡しますので飲んでください。直に痛みが引いてきますよ。」
目を押さえてうずくまるウィルに回復薬を渡し、扉に近づく。
扉を調べると槍を持った誰かの絵が描かれており、二ヶ所に窪みがあることが分かる。老人から貰った欠片をはめてみると模様は一致したがまだ欠けがあり、何も変化は起きなかった。
(これで合ってたみたいだが、まだ鍵が足りないのか…何処にあるか見当もつかん…)
クロードが考え込んでいると、何か思い出したのかウィルはポケットをガサゴソと慌ただしく漁りだす。
「そういや前に浜辺に落ちてたやつがあったんだが…あった!これ使えないか!?」
取り出したのは欠けた部分と同じ形をした欠片だった。それをクロードに渡した。
「試しに差し込んでみましょうか。」
渡された欠片をはめ込むと、カチッと音がなりゴゴゴと地響きをたてながらゆっくりと開いていき奥へ続く道が現れた。
(ふう、それで合っていたか…しかし、こんな偶然ってあるのか?…今考えても何も繋がらない。)
「ここから先は未知の領域になるからさっきよりも慎重に行こう。」
クロード達は一抹の不安を抱えながらも、地図に載っていない未知の領域へと進んでいく。




