最奥へ
「最近何かの噂や出来事を覚えてます?」
「えーと、そういや確か今年この近くの要塞都市で国王陛下の生誕三十年を記念した誕生祭をやってたな。」
「それっモガモガ!!」
クロードは慌ててユーリの口を手で塞ぎ、後ろに引き込んで小声で話す。
(ユーリ、今は黙ってろ!リーンもだ!)
(ぷはぁ!!え?何でです!?)
(言いたいことは分かるが余計な混乱を招くだけだ!とにかく二人共私に合わせろ!)
「おい、なんかあったか?さっきから話が噛み合わ…」
「いやぁーあの時初公開された王冠なんて圧巻でしたよ!あはは!」
ウィルは怪訝な顔で見ているのが分かり、慌てる心を落ち着かせて聞いた質問と矛盾が生じないように答えた。
(もう十年近く前だからこれぐらいしか覚えとらん…いけるか?もしこれで余計に警戒されでもしたら説得も難しくなる…)
「お!あの王冠を見れたのかよ。羨ましい!ところでまだ名前聞いてないんだがなんて言うんだ?」
(ど、どうにか話が逸れた…しかし予想はしてたが驚いたな、今目の前にいるのが探し人だとは。まだ不審がっている様子だからまず先に警戒をとくことにしよう。)
「私はクロード。探偵です。二人は助手のユーリとリーンベル」
「ユーリと言います!よろしくお願いします!」
「リーンベルと申します。これからはリーンとお呼びくださいませ。」
「三人ともよろしく。冒険者は知ってるが探偵は聞いたことないな?」
クロードに合わせるようにユーリとリーンも自己紹介をし、ウィルの警戒を解くことにした。功を奏したのか警戒が解かれ、最悪の事態を避けることができた。
「この職業はあまりいないので。ウィルさん、私達はご家族の依頼であなたを探しにここに来ました。」
「俺の家族が助けを呼んでくれたのか!じゃあ何でさっき変な事聞いてきたんだよ?」
家族が探していると伝えるとウィルはぐわっと目を見開き、クロードの肩を掴んで揺らす。
「さっき質問したのは気になったことがあり、聞いたまでですのでお気になさらず。」
「そうかい…」
(謎は残るが探し人は見つけた。後はここから出るだけだ。そのためにまずは……ここに行ってみるか。)
地図を見ると洞窟は出入口がなく壁に囲まれている造りになっている。だが目を凝らしてみると薄く描かれてはいるが奥に続く細く曲がりくねった道の先に膨らんだような形になっている場所があり、そこで一直線に引かれた線が目に止まった。しかしその場所に行こうにも道中は罠に溢れており、どうやって行こうかと考えているとふとウィルが言った言葉を思い出した。
「ウィルさん、何故か罠が見えると仰いましたね?警護もありますし私達も外に出たいところなので一緒に着いてきてくれますか?」
「おう!外に出られるんなら何でもやるぜ!」
やる気に満ち溢れたウィルを見て何かを感じたクロードは縦に首を頷いた。
「ではここに行きましょうか。何か分かるかもしれません。ユーリ、リーン」
そう言うと再度火魔法で辺りを照らし、四人は最奥へと進んで行く。




