洞窟調査開始(3)
洞窟の中をルインソが遺した手記にあった地図を模写した紙を頼りに進んでいく。月明かりがあるにしても薄暗い洞窟の中なのでユーリが光魔法「サンライト」を使って辺りを照らしながら進んでいたが、手記に描かれていた以上に罠が張り巡らされておりクロードが想定していたものよりも過酷な状況になっている。一時間歩いたところ、地図上では一個も罠がない小部屋にたどり着いた。
(やっと休める…全く、いやらしい罠が多すぎだろ…一回休憩を挟まないとユーリが持たん…)
クロードが横目でユーリの方を見ると魂が抜けたかのような顔で壁によりかかっている。
「な、何なんですかこの洞窟は?落とし穴があると思ったら横から岩が飛び出してきて、避けたと思ったら上から槍が降ってきたり火柱が道いっぱいに拡がったりと逃げるので精一杯なんですが…」
「冒険者時代の時もこんな罠だらけの所は見た事がないよ。きっとここには何かがあるんだろうね。」
「その何かってなんですか…」
「それは誰も分からないけ…」
クロードとユーリが押し問答していると不意にカチッと音がどこからか聞こえてきた。
「「「え?」」」
三人が冷や汗をかきながら見合わせると途端に天井から水が降り注ぎ、目の前の壁がガコッと開くと大きな岩がゴロゴロと転がってくる。
「これって…」
「嘘だろ…」
「「「逃げろー!!」」」
三人は奥に向かって全力で駆け抜ける。すんでのところで小部屋から出た直後ズゥンと体の芯まで響く地響きがし、振り返ると小部屋が岩で塞がれてしまい、元の道を引き返すことができなくなってしまった。
「ふうー…間一髪で抜け出せたみたいだね。」
「ハアハア…こ、怖かった…」
「やっと休めると思っとのに…」
(ここまで罠探知を手伝いながら照らしてくれたから相当魔力が消耗してるから無理もないな。)
今にも消えそうな声で零すユーリにクロードは同情するも、既に危険地帯に踏み込んでいるためすぐに気持ちを切り替えて赤い炎を出して照らす。
「ここからは私の魔法で照らすから罠がないか見てくれ。」
「かしこまりました。」
「…はい!」
三人はクロードを先頭に再び洞窟の深部へと向かっていった。
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道中、あちこちに散りばめられた罠を四苦八苦しながらも突破していると奥から一筋の光が見える。
「先生!あそこに何か光ってます!」
「よし行こう!罠には気をつけろよ!」
焦る気持ちを抑えて慎重に進むと光の正体が焚き火によるものと分かった。周りを見渡すと横にぐったりとした男がいる。ここ数日何も食べていないかのように痩せこけており、肌も白く目が虚ろになっている。クロードは駆け寄り、声をかける。
「おい、大丈夫か!!」
「……やっと助けが来たのか?め、飯をくれ…」
男はクロード声で気づいたのか、掠れた声で助けを求めた。
「ちょっと待ててくれ!今出す!」
(見たところろくに食べていない感じだから、持ってきた携行食だと栄養価が高いから死ぬな…それならこれを…)
クロードは後から追いついたユーリとリーンに回復薬を飲ませるようにと指示をし、細かく切った干し肉と果物の果肉が入った薄い果実水を袋から取り出す。
食事を取らせた後にポーションを飲ますと、次第に体に艶が出て、声の掠れも無くなった。




