洞窟調査開始
ー二日後ー
夜が更け三日月が空高く上がった頃、前日に狭い場所でも動きやすいよう着替えた三人は禁忌の洞窟がある崖上に冷たい潮風に当たりながらその時を待っていた。
暫くすると何処からか鯨の鳴き声が聞こえ、下方にある辺りを覆うほどの大渦の波が徐々に小さくなってゆく。
やがて波が静まり、沿岸一帯を静寂が包み込むがいくら待てども変化が現れないことに一同は一抹の不安を覚える。
(道は開かずか…仕方ない、危険だが崖から降りて行くしかないな。念の為ロープと杭とアレを用意して良かった。)
クロードは杭を地面に打ち込み、近くの木にロープを括り付けると次の行動を察したユーリとリーンがクロードを二人がかりで羽交い締めをする。
「ちょ、いきなりなんだ!!」
クロードが無理やり振りほどこうとしても、二人に抑えられ身動きが取れずにいるとユーリが声を荒らげた。
「先生!何やっているんですか!!いくら何でも危険すぎです!」
「お止め下さい!私ならともかくいくらクロード様が元冒険者でもこの高さでは助かりません!!」
「リーン、確かに事実なんだがそれは傷つく…」
「あ!も、申し訳ございません!!」
悲しそうな顔でクロードがそう呟くとリーンは顔を赤らめて咄嗟に抑えていた腕を離した。その隙にユーリの腕を振りほどいて服を整えると二人に向き直した。
「全く…無計画に崖を降りるわけじゃないんだからコレを用意しておいたんだよ。」
「何ですかこれは?」
クロードはポケットから丸い玉を取り出し、二人に見せる。
「魔杭の爪、魔道具の一つでここにこうやって魔力を込めると…っと、硬質の爪が飛び出して対象に食い込むことができるんだ。硬い岩にも使えるし爪も長いからもしもの時に用意しておいたんだよ。」
「へぇ〜こんな道具もあるんですね?」
「ただこれを使う必要は無くなったけどね。」
「「え!?」」
クロードが後ろに指を指すと雲から顔を出した三日月の光が海岸を照らし、光が当たった岩壁に輝く道が現れ時間と共に洞窟に繋がっていった。
「綺麗…」
「こんなの初めて…」
「幻想的だけど仕事なんだから見とれている場合じゃないよ?いつ道が消えるか分からないから早く行くよ!」
「あ、かしこまりました。」
「えー!置いて行かないでください〜!!」
幻想的な光景に目を奪われるユーリとリーンにクロードは声をかけて洞窟に向かった。




