怪盗VS探偵(2)
少し前、ユーリとリーンはクロードに任された二階の展望ベランダを見張っていた。
(あれ?いつからリーンさんこんな服着てたんだろ?)
「?ユーリ様、どうかされましたか?」
リーンはいつの間にかメイド服ではなく白のスカートにレンガ色のカーディガンを着ていてユーリは不思議そうに見ていると、不審な動きに見えたのか警戒して聞いてきた。
「いやぁ…似合ってるなーと思いまして、はは…」
「外から見られても違和感を感じられないようにとクロード様が用意してくれたものです。まぁ…メイド服以外あまり好きではありませんが服の質もいそうですがデザインもいいので気に入りました。」
ドライに返すリーンを見てまだ立ち直れていない様子が伺えた。どう話題を変えようか考えているとドォンと爆発音が聞こえ、床が揺れた。
「キャ!?」
「今の爆発は何!?」
「誰かが爆発に巻き込まれたかもしれないから助けに行かないと!」
「ちょっと待ってください!!このまま行ったら二次災害でリーンさんも巻き込まれます!!」
「止めないでよ!!」
振り返ると大量の煙が立ち上がり被害の深刻さを物語っていた。パニックになるリーンの腕を捕まえて説き伏せる。するとどこからか声が聞こえてきた。
「全く、あいつ一体何考えてるんだ?ここまでの威力に頼んだ記憶はないんだけどなー…」
右目に斜めの傷が入った見た目三十前半の髭が似合いそうな細マッチョの男性が現れた。一人で文句を言いながら頬をかいていたがユーリ達に気づいている様子だ。二人はどこからかいきなり現れた男性に驚くがユーリはその人について見覚えがあった。
「元王国兵一のスナイパーで弓の名手、グリコフ・ウィル!?」
「なんだ、俺の事知ってるんか?こんなガキにも知られとるんなんてなあ、まだまだ捨てられたもんじゃないな…っと俺に近づくんなら撃つよ?」
矢を向けられた二人は動けなくなり、絶体絶命のピンチになってしまった。
「ユーリ様、私が囮になりますのでその間に不意を突いて捕まえてください。」
「そんなこと出来るわけな「お願いします!!」…分かりました。三つ数えたら行きますよ!」
リーンは向こうに聞こえないくらいの音量でユーリに囮になると伝えると反対されたが、押し切って納得させた。
「いち、にの」
「「さん!!」」
「おっと、なにか企んでるのは分かってるんだ。まずはその足をいただく!」
「く…」
即座に二方向にばらける。グリコフは冷静にユーリの足を狙った。矢は足に当たり血が噴き出す。苦悶の表情で足を抑えるユーリを放って狙いをリーンに定めた。
「すまんな嬢ちゃん達、これも仕事なんでな!」
「そんな直線的な攻撃、当たりません!」
至近距離で放たれた矢を素手で掴み取る。掴んだ矢を投げ捨てて、距離を縮め蹴りを出すが空振りした。
「おいおい武闘家か何かか?動きが軽すぎる。」
「私、ただの雇われメイドですが?」
「絶対嘘だろ…」
二人の拮抗した激しい攻防戦が繰り広げられるが、傭兵とメイドでは基礎体力が違うので次第にリーンは劣勢になってくる。
(息がもう…そろそろ限界…)
リーンが限界に近づいてきた頃、ユーリはいつの間にかグリコフの背後に近づき、左腕を押さえつけた。
「リーンさんやりますよ!!」
ユーリが後ろに体重をかけてバランスが悪くなった隙にリーンが足払いをしてひっくり返した。すぐさま二人で乗っかり縄で動きを封じる。
「この俺が背後から襲われるとはな…見事!」
「あ〜あグリコフやられてやんの…」
声がした方向を向くと転移してきたヘートレンが宝石を上に投げてグリコフを見ていた。
「うるへ!俺が本気出さなかっただけだ!ヘートこの状況どうにかしてくれ!」
「はいはい、分かりましたよ…たく、世話がやけるっての」
ヘートレンはため息をつくと魔法を発動し頭上に光を放つ球をつくるとすぐさま強い閃光となって辺りを白で塗りつぶした。ユーリとリーンはあまりの眩しさでうずくまった。
「バカ!俺まで目やられたじゃねーか!」
「細かいこといちいち言うなよ…助けてあげたんだからさー」
「影縛り!」
逃げる一歩手前で二人に追いついたクロード達、ウェスカーは手に魔法陣を発動させ、魔法の縄を使いヘートレンとグリコフを捕縛した。
「この好機を僕が逃すと思うかい?」
「流石は犯罪者の天敵と言われるだけある…腕は落ちていないみたいだな」
こうしてゴタゴタした怪盗と探偵の戦いはこれで幕を閉じた。




