王都へ
翌日、まだ日も登り始めた頃クロードはギルド長室にいた。昨日の内容について話しているところだ。
「うーむ…さっきこの町の騎士団長から聞いたが同様の予告状が博物館にも届いたそうだ。何を考えているのか分からんが急いで向かった方がいいな。」
「そうですか。ここから王都まで二時間しかかかりませんので今のうちに行って情報集めでもしてきます。それでは」
「ちょっと待ちなさい。」
部屋を出ようとするクロードをバルトラは止める。バルトラは奥の部屋に入りゴソゴソと何かを探してるようだ。
「今回の騒動に君の兄さんも関わっているかもしれん。いなかった間もしもの時にと管理したんだ、使ってくれないか?」
ギルド長が奥の部屋から取り出してきたのはクロードが冒険者時代に使っていた刃渡り七十センチメキル(七十センチメートル)のレイピアにも似てる細直剣だ。手入れが行き届いてすぐにでも使える状態になっている。
「処分しても構わないと言ったはずですが、それでも保管して下さりありがとうございます。」
「それだと心もとないと思ったからな。まぁ今後のことを考えても必要になってくるだろ」
(流石はギルド長、見ただけで分かるとは…)
クロードの持つ杖を目で指す。それが何なのか分かるようで心配しているようだ。
「(ここでウジウジしてもしょうがない。兄さんが生きていた以上覚悟を決めなくては!)では行ってきます。」
剣を受け取り部屋を後にするクロード、バルトラがついでにとAランクのバッチを渡しクロードを見送る。
先に待ち合わせ場所に向かったユーリ達と途中合流し、王都行きの馬車乗り場に着いた。
「クロード様…これに乗るのですか?」
「狭いけどこの馬車に乗れば二時間で王都に着くから我慢してくれ…」
引きつった顔で聞いてくるリーンに答えるクロード。それもそうだ狭いといえど四人座れるくらいには広いが疲れ知らずと脚力が桁違いで有名なポーンホースの馬車に乗るからだ。馬の馬車に比べて半分の時間で着くから少し高いが人気であるため待つ必要がある。ただし…
「順番きたから乗るよ!」
「乗り気がしませんが…うう」
「リーンさん特に変わったところはありませんから身構えなくて…」
「舌を噛まないようにしっかり口を閉じて!」
「え?冗談ですよね…って!」
「「きゃああああああああ!!」」
速さを追求するあまり居住性が最悪で走り出した途端にシェイクされるような振動がクロード達を襲った。クロードは耐えているようだが二人は悲鳴をあげて震え出した。
「途中でひゅーけーすりゅのれすか?」
ユーリが話しかけてくるので首を横に振って止まらないことを伝えると絶望した表情で王都に着くまで二人の悲鳴は続くのであった。
(だからあれほど言ったのに…舌を噛んでも知らんぞ…)




