35.合格発表
試験が終わった二週間後、私はエルディさんと試験結果を確認しに魔剣術学園にやって来た。
今日は人も多いし、何せ紙にびっしりと書かれた受験番号から、自分の受験番号があるかを探し出すなんて、私にはかなり難しい。
だから、仕事中のエルディさんを連行して来た。
部屋から引っ張り出したら少し苦い顔をしてたけど、直ぐに事情が分かったのか、今は逆に私が手を引かれている。
「分かってはいたんたが、なんだこの人混みは。俺ってあんまり人混み得意じゃないんたよな」
エルディさんは学園に着くと同時にそう呟く。
合格発表の時間と少しずらして来たけど、それでも人は数えきれない程沢山いる。
エルディさんはエルフだから、こういうごちゃごちゃしてるのは苦手なのかな。
それに、私も人混みはあまり得意じゃないかも。
凄く圧迫感があって、声が出せたら何故か『ごめんなさい』って連呼しながら逃げていく自信がある。
「あ、あそこに結果が書いてある。どうやらクラスまで書いてるみたいだな」
クラス?
そう言うば、この学園って試験の出来でクラスが分けられてるんだっけ。
確かEクラスからSクラスまであるらしいんだけど、私にはどうでも良い。
だって、私は学園の中で上を目指すとか、そう言うの以前に、この学園に入れるかどうかすらも怪しいんだから。
エルディさんは私の手を引き、人混みの中を進んでいく。
……さっきから気になってたんだけど、何だか目立ってない?
やたらと視線を感じると言うか……
私は今の私達の姿を客観視してみる。
冒険者ギルドのエルフである副ギルマスが、全く知名度の無い少女の手を引いている。
犯罪の香りがしてきた。
で、でもエルディさんは少し小言の多いだけの普通の人だから。
私は客観視することも、周りの視線を気にすることも止め、合格発表に集中する。
余計なことは考えないようにしよう。
「……漸く受験番号を探せる位置にこれたな」
疲労困憊って感じがひしひしと伝わってくる。
なんか……ごめんなさい。
エルディさんは私の受験番号を探し始める。
ここから長い時間が続くんだろうな。
精神的にも。
と、思っていたけれど、そんな長い時間はやってこなかった。
「見つけたぞ」
……え?
まだ探し始めて十秒くらいだよ?
それに『見つけた』って、それって……
この学園に受かったってこと?
まだ実感は湧かない。
だってこんなにあっさりしてるなんて、全く思ってなかったんだから。
「それにSクラスだぞ。良かったな」
……え?
Sクラスって、超エリートクラスだよね?
何で私が?
それに、何でエルディさんは然も当然と言った様子なの?
私は『?』で埋めつくされ、余計に実感が湧かなくなる。
「セシルさんって、学園に落ちると思ってたのか?」
非常に戸惑っている私の様子を見たエルディさんが、私にそう話し掛ける。
それに私は頷く。
だって、筆記試験大暴れしちゃったし……
「俺はSクラスに入るって分かってたぞ?」
え、何で?
もしかして、コネとか……?
「だって、放置する訳ないだろ?技量もそうだが、詠唱放棄して高威力の魔法を使いまくって、スキル持ちで、剣術試験でも、王都で五本の指に入るような実力者に勝つような化物を」
……そんな化物存在するのかな?
私のことじゃ……ないよね?
「現実逃避しようとしてるだろ?」
私って、そんな化物だったの……!?
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