33.ロリコン覗き魔アレク君 by柴公
格上相手に接戦を繰り広げたけれど、負けてしまった俺は息を切らしながら元の列に戻る。
これまで努力はしてきたけど、流石に冒険者として大成功した、剣のプロフェッショナルである試験官には勝てないか。
ま、今はそれで良い。剣を本格的に学ぶのはこれからだからな。
「セシル · ニーハバード」
次は、筆記試験の時に泣いてたあの小動物系の人か。
セシルさん、ね。
名前を知れて少しにやけてしまう。
これじゃロリコンみたいだ。
俺はにやけてしまう顔を手で押さえる。
そして、爽やかな笑顔に顔を変える。
それはそうとセシルさんは……
俺は右隣にいるセシルさんに目を向ける。
セシルさんは名前を呼ばれて手をピンと挙げている。
小学1年生が信号を渡る時みたいで微笑ましい。
セシルさんは心許ない足取りで試験官の前へ歩いていく。
……あれ?武器は取らないのか?
すると、セシルさんの腕が鋭い爪が目立つ白い獣の腕になる。
あれは……スキルか。
セシルさんはスキル持ちか。
どんなスキルなんだろう。
俺はスキルでセシルさんの能力を覗こうとしたが、ふと我に返りそれを止める。
そう言えば母上から、むやみやたらとスキルを使うなと釘を刺されてたんだった。
誰だって知られたくないこともあるから、それを一方的に覗くのは失礼だ、と。
それに俺はスキルを使うと目が赤くなるから、覗いたことがバレるから、余計に駄目なんだよな。
更にスキルを使ったら姉上に『覗き魔』って罵りられるからな。
気になるけどここは我慢しよう。
セシルさんと試験官は試合を始める。
すると、セシルは地面を蹴ると……
消えていなくなった。
「……え?」
何処に……って!?
俺の元に衝撃波がやって来る。
混乱する俺は状況を把握しようと、衝撃波に耐え何とか目を開ける。
そこには、セシルさんの爪を剣で受け止める試験官の姿があった。
あの衝撃波って、もしかしてセシルさんが移動した時の衝撃なのか!?
余計混乱した俺は考えることを止めた。
セシルさんは一歩後ろに下がる。
だけど、試験官は逆に前進する。
セシルさんはそれを利用する。
小さな身体を駆使して試験官の背後に立ち、爪を振り下ろす。
それも試験官は受け止める。
……あんまり理解は追い付いてないけど、試合は長引きそうだな~と言うことは分かる。
試験官は攻撃は出来ていないけど、セシルさんの攻撃は全て受け止めれている。
このまま試験官が攻撃に移れなければ、試合は長引くと思う。
そんな俺の予想は完璧に外れてしまう。
「……もう訳分からん」
セシルさんの爪が試験官の剣を切り裂いたのだ。
詠唱してないから、これもスキルか?
だとしても、だ。
あのスピードにあの火力。何処のチーターだよ!
セシルさんはその勢いで試験官を倒してしまう。
セシルさんは喜んでいるのか兎のように跳ねている。
可愛いんだけど、可愛いんだけど……!
うん、可愛い。今の出来事は夢だ。いつの間にか寝ちゃってたのかな?
「これにて剣術試験は終了だ。帰って結果を待て」
その言葉を聞いて俺は夢見心地で帰っていった。
すみません、色々とバタバタしてて、一週間投稿お休みします。
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