30.最低な決意と最悪な迷い
あの夜から三日経った。
あの後エルディさんに妙に気を遣われていたことから、多分覗いてたのが気付かれていたと思う。
エルディさんが、私があの三人を殺めたことを知らないと思うと、正直心が痛んだ。
この少し不器用で、だけど暖かいこの優しさは、私の隠し事によって与えられていると思ってしまったから。
もし、この隠し事が暴かれれば、関係悪化どころか、私の首は一瞬で消し飛ぶだろう。
だから、私は隠し続けなければいけない。
この大罪を犯した過去を。
そんな最低な決意を固めた私は、お昼頃に私は一人で街を散策していた。
どんな街か改めて見てみたいと言う思いと、これまでに溜まった不安やストレスを解消するためだ。
本当は監視と保護のために、エルディさんに付いてきてもらうべきだったけど、私に付き合ってばかりで仕事を陸に出来ていなくて、徹夜で仕事をして今は死人の顔でソファーに沈んでいる。
だから私は一人で外出している。
一応エルディさんから許可は取っているけど、あの様子じゃ覚えているかかなり怪しい。
でも、許可を取ったものは取った。何ら問題は無い筈だ。
私は当てもなく歩き回る。
森での生活で体力はついているから、ずっと動き回っても大丈夫。
ここは森とは比べて凄く便利だ。
狩りをしなくても凄く美味しい料理を食べれるし、ふっかふかのベッドで警戒もせずにぐっすり眠れる。
それに髪も服も綺麗になったし。
それだけを聞いたら天国だと思う。
だけど、違う。
私は何不自由していない。
でも、心にすっぽりと穴が空いて、なかなか埋らない。
……きっとこの穴は、淋しさなんだと思う。
この街には、沢山の人がいる。
でも、私の知り合いはエルディさんくらいだ。
あの森には、殆ど生物がいない。
でも、私の知り合いは赤ずきんさんにメラさん、それに大好きなフェンリルだっている。
何て言えば良いか分からないけど、この二つって全く違うんだ。
常に私は思ってしまう。
『フェンリルに会いたい』と。
でも、それは叶わない。
フェンリルが私を人間に預けたのはきっと、私との生活に飽き飽きしたからだと思う。
フェンリルとの生活を思い返していても、私はフェンリルに与えられてばっかりで、フェンリルに何かを与えた記憶が一切ない。
そんな私に嫌気が差して、私を人間に預けたんだ。
だから、もう『フェンリルに会いたい』と言う願いは叶わないんだ。
……何やってんだろ、私。
不安やストレスを解消するために散策してるのに、余計溜めていってどうするの。
私は頭を横に振り、両手で頬を軽く二回叩く。
気持ちをリセットさせるためだ。
……よし、もう夕方だ。冒険者ギルドに帰ろう。
私は来た道を戻って──いけなかった。
色々考えながら歩いてたから、道なんて覚えてなかった……!
お、落ち着け落ち着け。
深呼吸しよう。
……冒険者らしき人の後ろ付いていこう。
そうすればいつかたどり着く……筈。
二時間後、私は精神的に草臥れて冒険者ギルドに帰ってきたのだった。
エルディはキレると敬語になるタイプ。
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