26.フェンリル欲張り三点セット
???
何で発音同じなのに形が変わるの???
「ま、まさか読み書きが出来ないだなんて……」
魔術試験を終えた翌日、私はエルディさんに文字について教わっていた。
筆記試験の勉強をしようと思ったけど、そもそも読み書きが出来なかったので、エルディさんに勉強に付き合ってもらっている。
……小さく『また残業だ』と言ったのは気のせいだろう。
一旦私は読者を止め、まずはエルディさんが書いてくれた文字を紙に写す。
簡単だと思ったけど、意外と難しい。だって……
ペン持つことすら久しぶりだから。
「──っふぅぅぅ」
小さいながらも凄く重い溜め息が聞こえた気がする。
流石に申し訳なく感じてきた。
筆記試験はもう明後日。二日間だけで間に合う訳がない。
最低限名前だけは完璧に書けるようにしないと。
それから二日間の猛特訓の末、名前と数字の書き方を覚えた。
そして、筆記試験当日。
筆記試験は私一人で行くことになった。
カンニング防止のためとか何とか言ってたけど、緊張し過ぎている私の耳には説明なんて全く入ってこなかった。
私は持たされた紙に書かれた数字と案内の数字を照らし合わせながら、何とか自分の席に着くことが出来た。
ここ、講堂って言うのかな?
凄く広くて、机が長い。
……我ながら説明下手過ぎだなって思った。
一つのに机にかなり間を空けながら三、四人座っていく。
この場の空気に圧倒されてしまう。
緊張が解けるイメージが湧かない。
いや、もうここで緊張しなくなったらヤバい気がするから、緊張したままでいいや。
全員集まったのか、少し説明があった後に紙を二枚配られる。
あ、あ、あ、緊張し過ぎて、心臓が、痛い。
「始め!」
まだ心の準備が……!
……ふぅ、落ち着こう。取り敢えず、紙を表返そう。
……うん、全く分かんない。
そりゃそうだよ。名前と数字しか分からないんだもん。
こんな問題解けないよ、流石に。
兎に角名前は書いておく。
名前は何回も練習したから合ってる……筈。
んー、マークシートで解答は枠を塗り潰すだけで良いから、適当に塗るか。
私は1の所を一直線に塗り潰す。
バラバラに塗り潰したら奇跡的に全部外すこともあり得るから、確実に何個か当たるように1に全部塗り潰す。
賢いよ、私。
後、最後の三問が、記入しなきゃ駄目なんだよね。
これは塗り潰すタイプじゃないから、私には正解出来ない。
なら、出来ることをしよう。
私は記入欄にフェンリルの絵を描く。
芸術点を取りにいこう。
何も書かないよりはマシでしょ。
私は上から順に、走ってるフェンリル、寝てるフェンリル、それから困り顔のフェンリルを描いていく。
森では暇な時とか、何かを伝える時は絵を描いてたから、画力にはそこそこ自信がある。
何とかならないか、と祈りながら、私はフェンリル欲張り三点セットを描き上げていった。
……我ながら説明下手過ぎだなって思った←筆者の心情
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