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25.増える疑問

 いつの間にか冒険者ギルドに帰って来た私は、エルディさんの部屋のソファーに腰を下ろす。


 アルメロス · ライデンスノー、私の父の名前だ。

 私を軽蔑、虐待し、追放へと追いやった張本人。

 まさかエルディさんとナンシーさんの話の中で、あの人の名前が出てくるとは思わなかった。


「大丈夫なのか?セシルさん。やっぱり、気分の悪い話だったよな。すまなかった」

 書類の整理をしていたエルディさんは首を押さえて、少し頭を下げる。

 エルディさんの話が悪かった訳じゃないのに、そんな頭下げられたら、こっちが悪いことしたみたい。

 私はそんなことないと伝わるように、頭を横に振る。

 伝わったのかどうかは分からないけど、エルディさんは頭を上げる。


 声を出して話せたら、こんな面倒なことにならないのになぁ。

 メリットしかないと思うんだけどな~、それに私は人と会話するの好きな方だと思うし。

 あ、流石に赤ずきんさんくらいペチャクチャ喋らないとは思うけど。


 ん?待って。

 赤ずきんさんになれば良いんじゃない?

 メラさんも人の姿をしてるけど、私がなれるのはあの鳥の姿で断念してたけど、赤ずきんさんは魔物だけど元から人の姿をしている。

 なら、赤ずきんさんの姿になれば、会話出来るんじゃない?


 何で今まで気付かなかったんだろう。

 早速試してみよう。

 喉だけを赤ずきんさんに変える。

 赤ずきんさんともそれなりの交流があるから、八割くらいは完璧に真似出来ると思う。

 私は逸る気持ちを何とか堪え、私は喉から声を出す。


「……」


 何で声が出ないんだろう。

 私は喉に手を添える。

 声が出ないのって構造の問題とかじゃないの?

 ん~、分からない。

 

「どうかした?」

 思考を巡らしていると、エルディさんが不思議そうに私に声を掛ける。

 ……どう説明しよう。

 もうさっきの『以心伝心』で魔力が殆ど無いから、同じことが出来ない。

 身振り手振りで伝えられる所まで頑張るか。


 私は喉を指差し、口の前で握っていた拳を広げる。そして、人差し指で罰を作る。

 最後に、不思議に思う顔を作り、頭を傾げる。

 

 私は声が出せないのは何でだろう?と言うことを伝えたつもり。

 喉を赤ずきんさんに変えても駄目だったことまでは説明出来ないけど、これだけあれば最低限のことは伝わる……はず。


「……うーん、何故話せないのか気になった、みたいな所か?」

 そうそう!

 私は頭を激しく振る。

 エルディさん凄い。これが長寿者の経験と勘か。

 

 エルディは私の頷きを見た後、顎に手を当て、少ししてぽつぽつと話し出す。

「……俺からは何とも言えないな。先天性の障害かもしれないし、呪いかもしれないからな。どうしても気になるのならナンシーに──いや、あいつは駄目だ。ナンシー以外の魔法や呪いの研究をしてる人に診てもらえば良い」

 多分先天性の障害では無いと思う。

 さっき喉を違う人のに変えても声が出なかったから。

 だとすると……呪い、か。


 呪いのことはあまり詳しくないんだけど、ここまで全く話せない呪いとなると、かなり強力な呪いだと思う。

 それも、呪いをかける側も喉等を生け贄にしなくちゃいけないくらいの。

 そこまでするメリットなんて無いよね。

 と言うことは……


 神からの呪い?

 ……ん~、それだと何で私にはスキルがあるんだって話になる。

 スキルは神から与えられる能力だからね。


 私は神から好かれてるのか、嫌われてるのか。

 いつか分かる時が来るのかなぁ……? 

 


 

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