23.エルディとナンシーの関係 前編
エルディさんとナンシーさんとの話が終わり、私とエルディさんは冒険者ギルドへ戻る。
「あんな姿を見せてすまなかった。少し──いや、かなり大人気なかったな」
エルディさんは私への申し訳なさと、子供っぽい姿を見せたことに照れているのとで、頬を掻く。
私は怒ってないことを知らせるために、エルディさんに笑顔を見せる。
そして、笑顔の後、私はまた表情を変える。
今度は不思議に思っている顔を作り、頭を少し傾ける。
私はどうしてもエルディさんとナンシーさんの関係が気になる。
もう頭の中がそれに埋めくつされて、何にも考えられなくなってる。
この疑問を解消するまでは、エルディさんとの会話を絶っ対に諦めない!
「何か疑問があったのか?」
私はこの機を逃すまいと、何度も頭を縦に勢いよく振る。
「疑問って何かな?俺の好きな食べ物とか?」
私を小さな子供だと思ってるんだろうか、エルディさんは。
あ、でもエルフだしこの見た目だと百歳前後かもしれない。
私、ちっちゃな子供だわ。
って、そんなことどうでも良くて!
私は頭を横に振る。
「えっと、じゃあ、俺の月収とか?」
好きな食べ物との差が激し過ぎる……
そんなのじゃなくて……
あ、そっか。メラさんのスキル使えば良いだけか。
何で今まで忘れてたんだろう。
私は能力をメラさんの能力に変え、スキルを使う。
『ナンシー、関係』
私は最低限の情報だけをエルディさんに伝える。
これだけでも魔力、半分は使っちゃうから、かなり消耗が激しい。
これを魔力を使わずに、あまつさえ会話も出来るメラさんが羨ましい。
「え?あ、もしかしてこれって、セシルさんの能力?」
戸惑った様子でエルディさんは私に聞く。
そう言えばこれをエルディさんに使うのは初めてだっけ。
そりゃ驚くよね。
ここで頭を横に振ったら面白そうだと思ったけど、それよりも私はエルディさんとナンシーさんの関係の方が気になったので、ここは正直に頭を縦に振る。
「へぇ~、こんなことも出来るのか」
エルディさんは興味深そうに私を見つめる。
少し悪寒を感じたのは気のせいであって欲しい。
「えっと、あいつとの関係だね?」
敵意が隠しきれてない……
「つまらない昔話だけど、付き合ってくれるかな?」
勿論私は頷いた。
─────
エルフの里で若者ながらも一番の魔法使いだった俺は、魔法の研究が盛んな国、ランドムル王国の魔剣術学園に入学することになった。
勿論俺は学年のトップ達が集まるSクラスになった。
俺は胸を踊らせながら、その教室に踏み込んだ。
エルフは人里ではかなり珍しいため、初めこそ友達は少なかったが、直ぐに打ち解けることが出来た。
──ただし、一人を除いて。
「エルディ · ユーフォンス。わたしの研究を手伝いなさい」
俺にだらしない格好をしたクラスメイトの女が話し掛けてくる。
こいつの名前はナンシー · ソレイジュア、能力こそ一流だが、性根が腐りきっている。
俺に近付くのは『エルフと言う希少な生命体の研究をするためだ』。
これは俺の虚言ではなく、あの女がしっかりと明言している。
「手伝うとでも思ってんのか?」
「ほう、その口の利き方……今は見逃してあげるけど、今度から気を付けな?」
「くっ……!」
更にこいつ、面倒くさいことに公爵家の令嬢なのだ。
だから腹立たしいことに、下手な口は利けない……
「もう一度言う。わたしの研究に手伝いなさい」
「お言葉ですが、俺は──」
「お言葉なんだね?よし、行こうか!」
ナンシーは俺の腕をがっちりと掴み、俺を誘拐する。
くそっ、なんだこのバカ力は!?
「離せ~!」
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