21.これが……普通なのか?
魔術試験当日、私はエルディさんと共に追試験会場である、魔剣術学園に来ていた。
普通は同伴者無しで一人で試験を受けるものだけど、世間知らずで何しろ意志疎通がほぼ不可能の私は特例で、唯一の知り合いであるエルディさんに来てもらっている。
「緊張してるのか?」
学園の前で固まっている私に、エルディさんは優しく声を掛ける。
緊張じゃなくて、その、学園や場の空気に圧倒されて、他人事のように感じちゃってる一番マズい状態になってるんだよね。
心ここにあらずってやつ。
エルディさんを不安にさせまいと、私は横に首を降る。
「そう、なら行こうか」
エルディさんはそう言いすたすた歩いて行く。そして私は遅れてその背中を追う。
私は一つ、気付いたことがある。
エルディさん曰く、この試験を受けている人は殆ど私と同じ十五歳らしい。
だけど、それにしては皆身長高くないか、と思う。
全員私より一回り身体が大きい。
……もしかして、私って身長低いの?
いや、そんな訳無い。
だって私は森で生活していたから、日常的に身体はかなり動かしている。
それで低身長な訳、が……
そう言えば私、十一年間肉ばっか食べてたな?
栄養バランス狂ってた可能性が出てきた。
……考えるのはよそう。今そんなことはどうでも良いから。
少し歩いて私は学園の渡り廊下にたどり着く。
そこには既に四人立っていた。
私とエルディさんはこの人達と同じように、試験の順番が来るまで間、この少しひんやりとした所で待つ。
空気が張り詰めている。
ここにいるだけで息が詰まって胸が苦しい。
こう言うのを感じると、やっぱり森って素敵な場所だったんだって実感する。
実際は数分だったのだろうが、数時間にも感じられた待ち時間に終止符が打たれ、試験官と思しき人から私達は呼び出される。
一度に複数人、試験を受ける形らしい。
私は校舎から離れた建物に入る。
そこは、地面が土になっていて、周りは観客席のようになっていた。
ここはなんて言う施設なんだろう?
私がキョロキョロと周りを見渡していたら、何処かだらしない雰囲気を醸し出した女の人が、私達の前に立つ。
ここにいるってことは、試験官……なのかな?全くそんなふうには見えないけど。
「えーと、試験内容について説明する。全力であそこにブッ刺さってる的を壊せ、以上。んじゃ、右から順に魔法ぶっ放せ!」
どうやら性格もだらしないように感じた。
だけど、この人は普通の人じゃない。特に根拠は無いんだけど、何となく分かる。
野生の勘って言うのかな?
試験官の掛け声と共に、一番右にいた人が詠唱を始める。
「───、─────」
詠唱は精霊語でする。だから教養のない私にはなんて言っているかは全く分からない。
「───!」
彼は叫ぶと手から炎を出す。
──いや、炎と言うより、火の粉と言うべきだろうか。
火の粉は的に到達すると、激しく衝突し、消える。
「はい、次」
何事もなかったように、次の人は詠唱を始める。
これが……普通なのか?
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