19.これからのこと
「これからのことを話して良いかな?」
エルディさんは、机を挟んだ私の向かい側にあるソファーにゆっくり座り、目を合わせて少し微笑み話し出す。
多分だけど、話をする時にこうやって、人を安心させるような笑顔を見せるのはエルディさんの癖なんだと思う。
その癖のお陰で私の心少し安らいで、エルディさんの問いに応えるため、私はオーバーに頷く。
これからのこと、私は想像すら出来ない。
エルディさんの話から何となく、魔剣術学園に入学しなければいけないことは分かるんだけど、それでもやっぱり上手く想像出来ない。
言葉にするのが難しいんだけど、箱の形が分かっても中身が何か分からない、みたいな感じかな?
「フェンリルがセシルさんを魔剣術学園に入学させたいって言ってるのは、さっき話したよな」
それは何となく分かってる。
それが伝わるように私は先程と同じように頷く。
「それで早速だが、明日、試験があるから」
ん???
明日???
「実はもう学園の試験は始まっていて、試験の内の魔術試験は既に三日前に終わっているんだ。だから、明日にある魔術試験の追試を受けてもらう」
タイミングが悪かったんだ。仕方ないんだけど、急過ぎるかも。
「そして、追試の明明後日に筆記試験。筆記試験の一週間後に剣術試験があるから、それも受けてもらう」
「フェンリルから『絶対に受けさせろ』と、何度も念を押されたから、出来れば絶対に受けてほしい。じゃなければ俺達がどうなるか分からないからな」
エルディさんはそう言い苦笑する。
う~ん……試験を受けることは良いんだけど、受かる気が全くしない。
魔術試験は問題無いんだけど、筆記試験と剣術試験はかなり厳しいと思う。
筆記試験は学力が必要。私十一年間ほぼ勉強してない。それどころか文字すら書けない。
剣術試験は剣を扱わなければならない。私剣の適性無い。それどころか剣を握ったことすら無い。
……無理じゃん。大丈夫な要素何処にも無いじゃん。
『一応説明を』と、エルディさんは試験内容について説明をする。
「魔術試験は一番得意な魔法を使って遠くにある的を破壊する試験。正確性や威力、適性等をここで見る」
「筆記試験は問題を解き、マークシートを塗り潰して回答していく試験。言わずもがな、ここで学力を測る」
「剣術試験は一番得意な武器を使って試験官と一対一での対決をする試験。剣術試験と言う名目だが、扱うのは自分の得意武器だから安心しろ。ここでは身のこなしや力量、適性等を測る」
「筆記試験以外はスキルを使っても良いことになっている」
そんな説明を聞いて私は少し安心する。
剣術試験は剣を扱う訳ではなく、更にスキルも使えるのなら、十二分に勝機はある。
筆記試験も文字を書く場面は少なそう。
だとしても、だけどね。
「フェンリルが惚れ込むぐらいだ。魔術試験と剣術試験は問題無いだろう。魔術試験と剣術試験をほぼ満点で通過出来れば筆記試験が0点でも何とかなるだろうから、安心しろ。それでも気掛かりなら、俺が勉強に付き合うからな。不安が原因で試験に落ちられたり何かされればかなり厄介だからな。仕事が増える」
途中まで『優しいな』って思ってたけど、最後完全に本音が漏れてた。
私情じゃんか。
でも、私も試験に落ちちゃったらお先真っ暗だから、努力しないと……!
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