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月陽の一杯、準備
珈琲の香りが微かに香る。
そういえば月陽が珈琲を淹れる場面というのを久しく見てない気がして、立ち上がる。
どんなに酷い結末が待っていようとも、マシな結末だろうと、やっぱり私は今を大事にしたい。
今の月陽を見ていたい。
スケールには、恐らく残りの珈琲を使い切った様に36gと表記され、コーヒーフィルターがセットされたドリッパーには綺麗に均されている。
何回も珈琲を淹れてきた人らしくなってる。
私が教えて、自分の1部みたいになってきているようで嬉しい。
自分の影響で、人が変わる。
こんなにも嬉しいなんて思わなかった。
湯が沸くまでの微かな時間、月陽が私に身を寄せる。
軽い体重を預かり、手を回す。
永遠にこの時が続けばいいのに。
カチッと無機質な音が私と月陽の繋がりを切る。




