合理的な考え
テンコ達もようやく私だと理解したようで、テンコは驚いて固まっていた。
「あのクソ強いアンドロイド、エルだったの?」
「そうだよ。気づいてなかった?」
「全然……」
テンコは配信カメラを回しているようで、コメントが共有される。
テンコは立ち上がり、爆発した廃工場を眺める。そして、少し考えた顔をした後。
「ねぇ、エル。気づいてなかった? って聞いてきたね」
「うん」
「エルは、気づいてたの?」
「うん」
「……気づいた上で私たち殺してたの?」
「……」
「エル」
「……君のような勘のいい子供は嫌いだよ」
わかってしまわれた。
「バカーーーーーっ!!!」
大きな怒声が私の耳を劈く。
「私たちが襲いかかってくる前にもたくさん殺してきたよね! なんでそんな酷いことするの!?」
「そりゃ敵対したら殺すしか」
「情ってものはないの! 友人だってわかったら、親友だってわかったら手が止まるとかないの!?」
「……エル、お前なぁ」
二人はとてもお冠。
まあ、無理もない。というか私は気づいてた上でやってたし、まあテンコのことだから少しやったら気づくだろみたいなこともあったから遠慮なかったんだけど……。
『これはひどい』
『流石にそりゃないぜ……』
『思考が軍人なのよ』
『人の心とかないんか?』
四面楚歌。
「悪かったって。ね? ぶっちゃけ気づいたのは最後の方だし誤差だよ誤差」
「……嘘だね」
「うっ」
「絶対初っ端から見抜いてた。エルは賢いもん」
こういうところはすぐ見抜いてくるのになぁ。
さて、どうしたもんか。こういうことになるのは想定してたけど予想より深く傷つけてしまった。
テンコはいじけてしまい、その場から動かなくなってしまった。コメント欄も私に対する批難の嵐である。
「なぁ、なんでそんなことした?」
「ん、いや、まぁ……。テンコならやってくうちにわかるかなぁと。言葉とか通じなかったみたいだし」
「まあ、たしかにお前何言ってるかわからなかったからな。俺を動けなくさせたの、威嚇か」
「そ」
「言葉も通じないならまあ、意思の疎通は不可能だわな。それに探索の邪魔されんなら俺だって殺すかもしれん」
「サターンまでぇ……!」
「実際、俺とエルは合理的な方の思考を持っている。基本情に流されんタイプだ。その気になれば親でも殺せる」
まあ、どちらかというとそっち寄りかもなぁ。
「邪魔して出るのが遅くなるくらいなら殺して少しでも付き纏われる時間を減らした方が得だろう。俺たちが付き纏ったことにも原因はある。一概にエル一人が悪いとも言えん」
「それは……そうだけど……」
「こればかりはお互いの価値観の相違だ。どちらにせよ、自爆する前に俺らを引っ張ってきたのは事実。助けてくれてもいるんだ。よく道を覚えていたな」
サターン……!
サターンがそう説得すると、テンコは立ち上がって私のところにやってきて。
そしてビンタしてきた。
「さっ! エルも一発! これでおしまい!」
「いや私はいいよ」
「しろ!」
「はいはい」
私はぺちっと弱く叩く。
ゲームだから痛くも痒くもないだろう。
「で、急に自爆スイッチが発動したのはなぜだ?」
「あ、それはね。私、工場長の部屋にもしもの時のがあるって聞いていったらボタンあってね。押したら」
「……それもお前か。ある意味マッチポンプではないか?」
「……たしかに?」
「ビンタ分返せーーー!」
「クーリングオフは適用されねーよーだ」




