リアルでは
昨日は深夜2時までゲームをしていた。
3時に寝て、7時に起きて登校。うら若き女子高生にとっては睡眠不足は成長を妨げるので良くない。
どれもこれもゲームが面白いのが悪い。あのあとキラーを倒してからずっとレベリングして15まで上がった。
「ふあーあ……」
教室で紙パックの牛乳を飲みながら朝ごはんがわりのパンを食べる。
眠い。ずっとやっていたかったが私は女子高生なので高校に行かねばならない。学校めんどい……。
「はよー笑留っち。眠そうだねー」
「はよ。夜遅くまでゲームしてた」
「アルフロ? そーいや昨日麗サンの配信出てたもんね」
「見てんの?」
「見てるよー。あんな美少女か楽しく配信してるとこ見ないわけないじゃん」
天子ってまあまあ人気あるんだなぁ。
チャイムが鳴り、朝のホームルームが始まる。来週の時間割も配られた。
来週の火曜と水曜は一学期末テストがあるらしい。
「テスト……。笑留っち勉強してる?」
「してない。やべー」
「そういっていつも高得点出すんだから」
「ま、普通に授業受けてたら大抵覚えられるだろ」
「それが出来たら苦労してないっての!」
ま、授業内容は覚えてるし、テスト勉強は今回もなしでいいかな。ゲームしたいし。
ホームルームが終わり、私は欠伸をしていると隣のクラスから天子が走ってやってきた。天子は入ってくるやいなや。
「笑留! 国語の教科書貸して!」
「忘れたの?」
「うん!」
「意気揚々に言うな。国語の教科書ね……。ほらよ」
「ありがとうオリゴ糖。てか眠そうだね?」
「深夜までやってたからね」
「笑留もはまったね? んじゃ、今日も配信しようね!」
「はいはい」
天子は勢いよくクラスから出ていった。
私はとりあえず飲み物を買いにいくことにした。牛乳1パックじゃ全然足りない。
一階の自販機に飲むヨーグルトが置いてあるので、買いに向かう。
するとそこに先客がいた。
3年の春川先輩だったか。大人しめの女の子で、胸が大きい。会ったことはなかったけどクラスの男子が「おっぱいでっけぇ!」とか下世話な話してたから印象に残ってる。
春川先輩は私に気づくと「どうも」と会釈。だがなんか少しぎこちないような感じがした。
「んー……。アシュリー?」
私が声に感じた違和感を口に出すとビクッという反応。
あ、この反応マジっぽい。てか、アシュリーのときと全然顔もキャラも違う。
「……り、リアルでは初めましてですね。エル、さん」
「あ、初めまして……。昨日はどーも……」
「い、いえ……」
気まずい沈黙が流れる。
「……げ、ゲームでは性格違うんですね」
「……顔と名前と体格を変えてる分別人だと思い込んでるので」
「そ、そうなんすね」
「こ、殺してください……」
春川先輩が涙を流し始めた。
「いやいや、いいと思いますよ! 私はあの活発な春川先輩だっていいと思います!」
「ほ、ほんとですか?」
「はい! それにこのことは私しか知りませんしね? 春川先輩は私のクラスでもお淑やかでとても良い先輩だって話題ですよ!」
「そ、そうですか? へへ……」
お、機嫌が良くなってきた。
まぁ……ゲームではめっちゃ活発だった先輩がリアルでは落ち着いた淑やかな女性というのは好みである。
そういうギャップって……いいよね。
「エルさんはとても良い子ですねぇ〜」
と、春川先輩は私の頭をなでなで。
お、これはいい。母性を感じる。
「……あ、ごめんなさい。つい。仲良くなったらこういうことしちゃうみたいで」
「いえ、全然やってくれて構わないので」
「そうですか? クラスのみんなは嫌がるんですけど……。ならお言葉に甘えて……」
美人な先輩に撫でられるのは悪くない。むしろいい。
この女性は私のお母さんになってくれる人だ。
主人公の弱点
・美人な人に対してまあまあキモい




