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聖騎士エル

 放課後デートはモヤモヤしたまま終わってしまった。

 セルリアンは終始流音と楽しそうにしていた。モヤァ……と心がなんだかざわついている。


「熾天使の剣」


 私はそのざわつきを無くしたい。

 第四エリアに行くのを後回しにして、モンスターを屠る。


「なんだこのモヤモヤ……。なんか……なんか心地悪い」


 ひたすら敵を屠る。

 屠って屠って屠りまくる。無心で適当なモンスターに八つ当たりをするが、あまり気分が晴れた感じはしない。


「やっぱり私もどこかでセルリアンのこと好きなんかなぁ〜……。私そっちのケはないと思ってたんだけど……」


 私は恋をしたことはない。

 セルリアンが流音と楽しくしているのを見てモヤるのは恋なのではないだろうか。

 私は私のことが好きな人が好きだ。好きと言ってくれる人が好きだ。


 私がモンスターを切り付けたりしていた時だった。

 突然、私の背後から人間が襲いかかってくる。剣で受け止めると、その人間は剣を納めた。


「君はすごいね。すごい腕の剣士だ」

「そりゃどうも」

「どうだい? 防御もある。どうだい? 君、聖騎士(パラディン)になってみないか?」

「え?」

「聖騎士(パラディン)というのはね。ガッチリとした防御、そして強い攻撃! 全てにおいて強くなれるんだ。私はその資格を持つ者を探していてね。君は聖騎士(パラディン)になれる」


 白い鎧を着た老年の男性は私に手を差し伸べてきた。もちろん……。


「なりまぁす!」

「では職業の秘伝書を伝授しよう」


 そう言って、私に巻物が手渡される。

 

《アイテム:聖騎士(パラディン)の秘伝書 を取得しました》

《使用しますか?》


 選択肢が出てくる。はいかいいえの二択。

 もみろんはいを選択すると、秘伝書が開かれ、私を光が包み込む。


《職業:狩人 から職業:聖騎士(パラディン)に転職します》

《職業スキル:聖なる盾 を取得しました》

《黒龍の加護と聖なる盾が反応いたしました》

《スキル:聖なる盾と黒龍の加護が合わさり進化します》

《スキル:イージスの盾 を取得しました》


 イージスの盾……?

 効果を見てみる。


【イージスの盾:巨大な盾を生成し周囲の攻撃から身を守る。どんな攻撃を守ることができ、他スキルの効果を受けない。耐久値は10000。連発は不可能】


 という効果らしい。

 私としては少し弱体化したような気がする。黒龍の加護と合わさったというアナウンスがあった。黒龍の加護が消えており、黒龍の加護によるダメージ軽減効果がなくなってしまった。


 それはそれでまあまあ痛い。

 

「うむ! 無事に聖騎士(パラディン)になれたようだな」

「みたいですね」

「よかった、きちんと適正があったみたいだ。私はツメイツの町に普段はいる。困ったことがあったら来てくれたまえ」


 そういって謎のおじさんは消えて行く。

 思いがけない転職が起きた。それは良いんだけどなんか……私はカッコよくなくなってしまった。

 半身が黒く染まっていたのだがそれもなくなり、普通の天使になってしまった。


「くっ……」


 まぁ……なってしまったものは仕方がない。

 そろそろテンコがログインする頃だろうし拠点に戻ろう。











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