放課後デート ③
「え、まじ!? 二人ともアルフロやってるん!?」
「うん」
「ウチもやってっよー! ねー、一緒にやらねー? ウチの友達ゲームなんてあんましなくてさー。ぼっちなの!」
「やりましょう」
私を真ん中にして二人が歩いている。
なんだか視線を感じる。
「あらあら、かっこいい男の人っ」
「あ、私女です」
「……やだ、なんか目覚めた気がするわ」
「なんの?」
構えよさそうなマダムが話しかけてきたかと思うとなんか恋する乙女のような視線で私を見つめてくる。
や、やりづらい。男装の麗人ってシチュは好きなんだけどこういう視線を向けられるのか……。
「あ、あの!」
「ん?」
「あ、ああ、あなたの名前を教えてください!」
「天使 笑留ですけど」
「きゃーーーっ!」
私はできるだけの低音ボイスで返すと、女の子は黄色い悲鳴をあげていた。
「わかります。私もこの美貌には限界寸前です」
「ふっ……」
私は髪をかきあげると、またもや悲鳴が上がる。
「楽しんでんねー」
「ちょっと楽しい」
私って男装が意外と似合うのかもしれない。
男みたいな所作を心掛けてみよう。ゲームでもそういう風な格好をしてみるのも大ありか……? 女性の男装、いいよな。
「それで次はどこに行くんだ?」
「男のロールプレイでいくことにしたんだ……」
「もうめぼしいものは買い終えましたし……。あ、いえ。流音さんに友好の証を買わねば。なにか服などはいりませんか? 私が買いましょう」
「え、いいよそれは! 申し訳ないし……」
「これからこういうことを頼むかもしれませんので……。その報酬として」
「は、はい!」
そういって、今度は流音の服を選び始める。
あらゆる服のブランドを見て回り、流音がいいなぁとみている商品を次々と買っていく。流音もそれにビビっているのか、私がいいなぁといった商品次々買われてくんだけどと呆気に取られていた。
「あれ、買ったものは……?」
「私の車に積んでもらっています。この後一緒に家に運びましょう」
「袋抱えたまま歩かないの!?」
「むしろ邪魔になりますから積んでもらったほうが楽では?」
「わ、私はいっつもそうだったんだけど……。というか積んでもらえるの……?」
「あ、持ち歩きたかったですか……? すいません! 配慮が足らず……」
「い、いやそういうわけじゃなくて! というか私の服いくらくらいでした……?」
「え、値段見てないからわからないです……。でもざっと20万ちょいですよ! もっと買ってもいいんですよ?」
あ、流音が壊れていく音が聞こえる。
こういう好き放題金を使える金持ちと出会ったことなんてなかったんだろう。私もなかったよ。流音は笑顔を浮かべているが汗がだくだくだ。
「あ、そうです! ならコスメなんていかがでしょう。メイクがお好きだと言っておりましたし、そういった品も興味ありますよね!?」
「ふぇ、これ以上は……」
「お友達ですからね。お友達。ふふ、私友達出来たことないので張り切っちゃってます」
「おとも……だち……」
流音はセルリアンの手を取る。
「ダメだよ。私たちはお友達かもしれないけど、お友達に何でもかんでも買ってあげるっていうのは。お友達なんだったら対等に、一緒に遊ぶとかそういうのでいいの」
「ふぇ……?」
「別に私のためにお金なんて使わなくていい。そこまでしたら私は何も返せないよ。だからさ、お友達なんだったら一緒に遊ぶとかそういうのがしたいな」
「かっけー」
「冷やかし?」
セルリアンは顔を背けた。
ものすごく顔が赤い。
「……ダメダメ! 私には運命のお人がっ……!」
「エロ同人?」
これはネトラレものだった?
セルリアンはなんだか葛藤しているようだ。流音、すっごいな。私は別にそういうの気にしてなかったから本当に恥ずかしい。
セルリアンのいうことはもっともだし私は恥ずべき存在である……。
「こほん。そう、です、ね……」
「だからさ、もっとこう……私たちが一緒に商品を見てこれいいなーっていうのが放課後の買い物のいいところなんだよ、ね!」
「そう、なんです、か?」
「そうそう! 一緒に新商品を確かめたりとかね!」
「え、あ、それは……」
「確かめないの?」
「新商品が出たらうちにカタログが届くので……」
「リサーチする必要ないんだ! すっご……」
私がだいぶ空気になってしまった。
いや、この二人だいぶ相性良いんだな……。こりゃ私が見限られるのも時間の問題……。それはそれでちょっと寂しい。
私はセルリアンの隣に立つ。
「どうしました?」
「あ、いや……なんでもない。いこうか」
なんか、モヤモヤする。




