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放課後デート ①

 第四エリアへ向かうのは翌日に繰り越しになった。

 というのも、クラーケン攻略でだいぶ疲弊してしまい、行く気力がない。

 セルリアンはまだまだ元気そうではあったが……。


 私はバッグに教科書を詰めていく。


「さ、帰るか」


 帰ってゲームでもしよう。天子は今日演劇部の方に行くとか言ってたし遅くなるかな。

 私は玄関に向かうと、外から音が聞こえてくる。外を見てみると、地面が濡れていた。

 雨がざぁざぁと降り注いでいた。


「げ、雨かよ」


 今日雨降る予報だったかな。

 なんて思いながら、靴を履き、ダッシュで帰る準備を整える。

 そして、玄関から出てダッシュ!した矢先に私の横に黒い車が停まった。


「運命のお方! 乗っていきませんか?」

「いいの? 助かる!」

「ささ」


 扉が開かれ、私は中に入る。

 制服は少し濡れてしまったがぐっしょりというほどじゃない。

 セルリアンは白い制服を着ており、学校帰りのようだ。


「いやー、助かったわ。傘持ってきてなかったからさ」

「いえいえ。それでお願いがあるのですが……」

「いいよいいよ。私に出来ることならなんでもするよ」

「本当ですか!? なら私放課後デートというものをしてみたいんです!」

「放課後デートね……。いいよ」

「やった……! では行きましょう! 放課後デートは買い物をすると漫画で読みました。雨ですので建物内でしましょうか」


 そういって車が向かったのは大型の百貨店。

 ここ、クラスの女の子がよく服を買ってもらってるんだーと自慢していたブランドの店があるところだな。

 服には興味なかったが、まあまあ可愛いデザインではあったので少し気になっていたこともある。


「何を買いましょうか!」

「何って言われても……。うわ、すっご……。たっかー……」

「その時計が欲しいんですか? なら買いましょう」

「え?」


 時計の値段は10万円近いですけど……。

 店の人にこれくださいと告げていた。バイトらしき子ははいと笑顔を浮かべたかと思いきや、スーツ姿の男性が急いで駆け出してきてレジを交代していた。


「あ、田中さん」

「どうも。お嬢様。お世話になっております」

「どーもどーも」

「本日は何をお探しに?」

「んー、特に探してるものはないんだけどね。制服デートというものをしてみたくて! この方にプレゼントをするんです! よければこの方に似合うプレゼントを見繕っていただけませんか?」

「かしこまりました。制服デートということでしたら服などを見て回るのもよろしいかと」

「そーかも! ありがとうございます〜」

「いえ」


 深々と礼をしている。

 コンシェルジュみたいだなぁ。セルリアンはウキウキとしている。

 私はすごいなぁと思っていると、セルリアンと話していた田中さんが私に駆け寄ってくる。


「お客様、是非ともお客様の衣服の好みなどを教えてはいただけませんか?」

「え、特にこだわりない……」

「左様でございますか。エリス様はこうなって欲しいという好みはありますでしょうか」

「んー、かっこいい方向で!」

「かしこまりました」


 深々とまた一礼。


「あ、あの田中さんはこの百貨店の店員さん?」

「私はエリス様の外商を務めさせていただいております」

「が、外商?」

「まー、そーゆー人?」


 どういう人だよ。

 とりあえず歩き回ることになった。私はスマホで外商を調べてみると、デパートの優良顧客とかにつく専属のなんちゃらということで、基本的には家で買い物するとか、そういぅた応接室で応対するらしい。

 年間100万以上使う人とかも出てくる。


「セルリアンってよくここで買い物すんの?」

「うーん、さっきの人に頼んで適当に持ってきてもらうことが多いかなー」

「そ、そうなんだ……」

「まー、でも今年限りの付き合いになりそうですけどね」

「え、なんで?」

「だって前にふらっと来た時すんごいバカにされたんですもん。女の子が一人でくる場所じゃないですよーって。すっごい腹たちました」


 セルリアンは思い出したのか少しムカムカしてるような顔つきになっている。

 まあたしかに周りは貴婦人というか……。そういう人ばかりだ。私たち割と浮いているような気がしなくもない。


「だから田中さんにはお世話になってるから今年は残るけど来年からはここはもう利用しないことにしたんです」

「……それってさっきの人大慌てじゃないの?」

「田中さんに見たことのない土下座されました」


 なにそれ。少し気になる。


「気になりますか?」

「気にならないって言ったら嘘になるけど流石に土下座までさせたくないよ!?」

「ですよね」


 見たことのない土下座ってどんな土下座なのかは気になるけど流石に……。

 

「さ、そろそろ用意できた頃合いだと思いますし向かいましょう」

「え?」


 私たちは部屋に通され、私は着替えさせられた。

 

「お、おぉ」

「きゃーーーっ!」


 セルリアンが鼻血を出していた。


「王子様系ですね!!! とてもいい! とても良いですよ!!!」

「そ、そーお?」

「田中さん流石です!」

「い、いえ……」


 セルリアンはスマホで私をパシャパシャと撮ってくる。

 なんつーか、これが高級品だと思うとものすごく恐ろしいが、でもちょっと私の心に刺さったり……。


「セルリアン、なんでも言うこと聞くのでこれを買っていただけませんか」

「何をおっしゃるのです」


 ダメか。


「すいません、見繕ってるもの全部ください」

「え?」

「差し上げますよ全部!! 来年とかの新作も今のうちに抑えて……あ、でも来年は……。田中さん、私の母にも言っておくのでやっぱり来年も……」

「かしこまりました」


 田中さんの口角が少し上がっていた。

 嬉しいというオーラがダダ漏れている。


 セルリアンはトイレに行ってくると出て行くと。


「お客様……。ありがとうございました」

「え?」


 なんかお礼言われた。










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