さらば鏡の国よ!
氷の女王に鏡を渡す。
「うむ。ではそなたらを元の世界へ! の前に……。妾も色々迷惑かけたからな。望みを一つ叶えてやろう」
氷の女王はそういうと、まずアルトの方を向いた。
「え? あー、じゃあなんか特別な種族に転生したいです」
「ふむ。いいだろう。そこでじっとしてるがよい」
そう言うと、アルト目掛けてなにか魔法を放っていた。
アルトにその魔法が当たり、アルトの身体が光り始める。
眩い光がアルトを包み込む。
「どうじゃ?」
「ゆきんこ……?」
「うむ。妾の力を少し授けてやった。成長すれば妾みたくなれる」
「そうなんですね。嬉しい……」
「で、そなたは?」
「私はなんか氷の魔法かなんか使いたいですね」
「ふむ。よかろう」
《スキル:氷冷 を取得しました》
【氷冷:自身の周囲に冷気を発生させ、攻撃した際に相手を1分間霜焼け状態にする】
霜焼け?
霜焼けを公式のワード検索で調べてみる。
【霜焼け状態:持続的なダメージを食らい続ける。また、霜焼け状態になると足が遅くなる】
ふむ、移動に大きなデバフがかかる感じか。
近接戦においては割と相性がいい。相手の速度を下げられる効果は優秀だ。
「迷惑をかけたの。さ、元の世界に戻るが良い。またこの世界に来たいのならばこの鏡を使うとよいぞ」
と、私たち二人に虹色の手鏡が渡される。
そして、私たちは光に包まれ、気がつくとトネクスの町の噴水の前に立っていた。
「あー、戻って来れた……」
「もういい時間ですね。夜の10時……」
現実の時刻で22時を指している。ここまで時間がかかった理由は大河の鮭なんだよな。
テンコとかは今何をしてるんだろうか。ログインはしてるようだがまだ特殊な種族になるために走り回ってるんだろうか?
「とりあえず今日はこれでお開きにしましょう。楽しかったです」
「ん、楽しかったよ」
私はアルトにフレンド申請を送っておいた。
私はその足で拠点に向かう。拠点ではサターンとブリさんが楽しくお話ししていた。
「おかえり。何してたんだ?」
「ちょっと鏡の国に行ってた」
「鏡の国? んだぃそれ」
「まー、こことは別世界かな。テンコたちは戻ってきてないの?」
「今さっきお前を探しに走って出ていったぞ。嬉しいことがあったんだとさ」
「ふーん」
となると特別な種族になれたのかな。
ま、すれ違いになったらアレだし私も拠点でテンコの帰りを待つとしよう。
「ふーん、これで鏡の国に行けるってわけか。アプデで追加された要素かこりゃあ」
「モンスターはいたのか?」
「いたよ。結構強かった」
「となると俺はまだいけそうにないな。早いとこトネクスの町を攻略しねえとな」
サターンがソファに座る。
「あ、ブリさん。私転職しようと思ってたんだけど転職する場合ってどこ行きゃいいの?」
「そりゃおめえ……。この町の中央にある転職の館よ。お前さん知らなかったんか」
「うん。聞きに戻るのも面倒だしなぁ〜と歩いてて鏡の国に迷い込んだ」
「おいおい……」
そう話していると。
「いたぁーーー! どこ行ってたの!」
「おっす。お、配信してんの?」
「一人じゃ寂しいから……。エル、見て! 私人狼になった!」
狼の尻尾とケモミミを嬉しそうに見せてくる。
「へぇ。よかったじゃん」
「苦労したよぉ。これで私も特別な種族に……。まだ特別な種族になった人少ないしラッキー」
「そうだな。で、セルリアンは?」
「私はなんと……妖精です!」
「おー、似合う」
「ふふ、そうですよね!」
小さい羽が背中から生えている。
「はぁ〜、これで運命のお人とお・な・か・まっ」
「そうだね。ペアルックじゃん」
「まぁ〜!」
嬉しそうに絶頂するセルリアン。
「で、エルはどこ行ってたの? 第三エリア攻略?」
「んー、鏡の国」
「……ん?」
「ん?」
私何かおかしいこと言ったか?
「あ、新たなスキルもゲットした。見たい?」
「み、見たい」
「じゃ、みんなで平原にいこー」




