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氷の女王は笑う ⑥

 アフロモンキーのパワーはすさまじい。

 棍棒一振りで地面を砕くパワー。まともに受けられるようなものじゃない。だがしかし。私は硬い。とてつもなくカチカチ。

 だから基本的にそういうのは気にしていないのだが……。唯一の懸念点はスタンピードの際の特別な一角ウサギのような防御を無視した攻撃をしてくること。

 それにさえ気を付けていればなんとかなるだろう、という甘い見通し。


「重そうな棍棒を軽々と扱いやがって」


 凄まじいほどの連撃。

 防御で手一杯だ。なんとかして攻撃に入りたいがその隙がない。


「もっともっとノッてけYO!」


 私は棍棒の攻撃を受ける。


「ウキっ!」


 ダメージはそこまでじゃないな。死ぬにはまだ程遠い。

 私は剣を振り上げる。


「"チェスト"」


 勢いよく剣を振り下ろした。

 剣の衝撃が大地を割る。アフロモンキーにクリーンヒット。アフロモンキーはそのまま後ずさる。


「なんちゅー威力じゃあ……! だがこの程度じゃオレ様はやれねえZE!」

「わかってんだよ」


 私は距離を詰め剣を突く。

 防御をかなぐり捨て、攻めあるのみ。私は何発受けても大丈夫だということは理解したので捨て身での特攻も出来るのだ。


「防御捨てたか! ウキ……この猛攻はきつい……」

「ボスともあろうものが弱音を吐いてんじゃねぇぞタコ!」

「ウキ……!」


 反撃する暇を与えてはならない。

 このまま続けばジリ貧だ。いくら硬いといえど体力には限度がある。

 隙を与えずに押し切る。多少なりの被弾は覚悟の上だ。


「ハァ……ハァ……」


 息を切らしているアフロモンキー。

 削れてきている。あともう一息か? と思ったその時、アフロモンキーは手を前に突き出した。


「降参ウキ! このままいけばオレ様が死んじまう!」

「降参?」

「ウキ……。お前さん強えなァ。オレ様を負かすとは大した猿だウキ」

「猿じゃないけどな」

「ま、約束ウキ。おめえら! 秘湯にんじんを引っこ抜いて持ってこい!」

「「「ウーキー!!!」」」


 猿たちがバラけて飛び出していく。

 そして、大量のにんじんが私たちの前に積まれていく。たしかに秘湯にんじんだった。


「ここらにはこれくらいしか生えてないウキ。足りねえならもっとバラけさせて探させる」

「いや、充分……っつーか多いよ」

「そうか? なら食べてくといい。甘くて美味しいウキ」


 というので一つもらって食べてみる。

 このゲーム、味を感じることが出来るのはすごい。フルダイブ型とはいえ、味すらも感じられる技術には感服する。


 秘湯にんじんを一つもらい、齧ってみると。


「あ、甘いですね。にんじんのグラッセみたいな」

「うん、美味い」


 にんじんの甘みが強い。

 アルトも言っていたように、よくステーキの付け合わせに出てくるようなにんじんのグラッセに近い味。デミグラスソースにディップして食べたい。


「私たちは一本だけでいいから他みんなで食べていいよ」

「……いいウキか?」

「うん」

「あんたいい奴だ……! よし、この恩は返さねえとボス猿の名が廃る。お前、羽猿! あんたの困ってる時には呼び出すウキ」


《アフロモンキー が仲間になりたいようです》

《テイムしますか? はい/いいえ》


 テイム……? なんだそれは。

 とりあえずはいを選択してみると、私の手の甲にアフロの猿の紋章が出てくる。


「その紋章はオレ様の証ウキ。呼び出したい時はオレ様の名前、アフロモンキーと叫んだら出ていくウキ。オレ様が力になるウキ」

「へぇ〜」

「おめえら! 次の秘湯を探しにいくウキよ!」

「「「キーーーッ!!」」」


 アフロモンキーたちは去っていくかと思ったが、猿の軍団はアルトに近づいていく。


「え、私には君たちが力を貸してくれるの?」

「キーッ!」

「助かるよ。じゃ、お願いしますね」


 アルトの手の甲には猿たちの紋章が浮かび上がる。

 猿たちも去っていった。


「……よし、氷の女王の元に持って行こうか」

「そうですね」


 これでクエスト達成だろう。








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