氷の女王は笑う ⑤
融雪の白桃はすごく楽だった。本当に楽だった。
切り立った崖の上に融雪の白桃の大木があった。本来ならよじ登っていくのだが、私は空を飛べるので空を飛んで桃を収穫。
大河の鮭とは違いあっけなく終わった。残り一つ、秘湯にんじんである。
「秘湯って言うからには……温泉、ですよね」
「そんなもん近くにあるか?」
「とりあえず温泉は山付近にあるイメージがありますしそこを目指しませんか」
「そーだね」
秘湯にんじん。
これだけ何もヒントが書かれていない。どこにあるのかも書かれていないので自力で見つけろということなのだろう。
いや、これはヒントがもしかして今までのものにあったのかな。それらしきものはない気がするが。
まぁ考えても仕方ないので歩いていると。
「ウキキ?」
「ウキキ」
大きな猿の群れが雪の上で座っていた。
木の実を食べているのか、口には木の実の果汁がべっとりついている。
「ウキ」
「ウキキ」
猿は私たちを囲み始めた。
私は熾天使の剣を取り出そうとした瞬間わ下から猿たちが出てきたかと思うと、私たちをがっしり掴む。
「放せコラ!」
「どこかに連れて行かれるみたいですよ」
「どこにだよくそっ!」
猿たちは私たちを掴んで山を登っていく。
そして。赤くぐつぐつと煮えたぎるマグマがあった。猿たちは笑って私たちをマグマに投げ入れ……られたと思いきや、ダメージを受けてない。
「マグマじゃない?」
「ウキ〜……」
猿たちも赤くドロドロとした液体の中に入ってくる。ほっ……と顔を赤くしてまるでお風呂に入っているかのような感じでくつろいでいた。
「ウキキ」
「え、くれんの?」
猿たちは木の器に赤い液体を注ぎ入れる。
鑑定してみるとザクログの秘湯の湯という結果だった。
これはザクログの秘湯と呼ばれる秘湯らしく、猿たちはここに私たちを連れてきた。その理由はなんなのだろう。
そう考えていた時だった。
大勢の猿たちが道を作り、その奥からドシン、ドシンと大きなアフロヘアーの猿が歩いてくる。
「ウキ。見ねえ顔ウキねぇ」
「喋った!?」
「オレ様はアフロモンキー。このザクログ猿のボスだァ。よろしくなァ」
アフロモンキーはどかっと秘湯の縁に座る。
「こいつらは温泉好きでよォ。客だと判断すると温泉に連れて行くんだ。手荒ですまなかったな。敵意はねぇ」
「そうなんだ……。いい趣味だね」
「おぅよ。テメェらが珍しい猿だから連れてきたって言ってる」
「猿じゃなくて人間です」
「ニンゲン? なんだそら。ま、なんでもいーけどよ。お前さんら、なにしてんだ?」
「実は秘湯にんじんというのを探してまして」
「あー、あの人参か。それなら近くに生えてるぜ」
「本当ですか!? なら……」
「ただし、条件があらぁな。秘湯にんじんはオレ様の大好物でよォ。分けて欲しいんならオレ様とタイマンだァ」
アフロモンキーは棍棒を持つ。
「オレ様は手加減出来ねぇからよォ〜。オレ様とタイマンして勝ったら好きなだけ持っていけや」
「……乗った。やろうか」
「やるの!?」
「こういうのがいいんだよゲームは。タイマンだから私がやる。手出ししたらダメだよ」
「わ、わかりました」
私は熾天使の剣を召喚した。
「かかってこいやぁ羽猿ゥ!」
「やっぱり戦わねえとゲームじゃないよなぁ!」




