氷の女王は笑う ④
私は川に釣り糸を垂らす。
大河の鮭を狙うためである。初めて戦闘以外のことをするような気がする。このゲームは戦闘だけではなく釣りだったり農業だったり楽しめるぞ!という触れ込みなのに戦闘以外のコンテンツは初めて一ヶ月ちょいでやっと触れる。
「静かですね」
「この世界私たち以外人間いないみたいだからな〜」
「もですし、モンスターの気配がないというか……」
「あ、たしかに」
モンスターとエンカしてもおかしくないはずだ。ここはもしかして出ないのだろうか。
とりあえず私は釣り竿を川に垂らしていると。
「来たッ!」
釣り竿が大きくしなる。
ヒット。私は釣り竿を持ち上げ力一杯引っ張る。そして、水から勢いよく上がったのは。
虹色に輝く魚だった。鑑定してみるとレインボーニジマスというレア度8の魚。
このゲーム、レア度9が最大のレア度らしいのでそれの一個下のレア度。相当レアな魚だが。
「狙ってるのこれじゃないんだよなぁ。まぁとっておくけど」
イベントリにしまい再び釣り糸を垂らす。
情報によると、大河の鮭はレア度5というそこそこなレア度らしい。だからまぁ、あまり時間はかからないだろうと思っていたが。
「レインボーニジマス」
「こちらもです」
「……6匹目」
「本当にレア度8の魚なんですかこれ? 先ほどからポンポン出てますが……」
「さ、さぁ……」
出ない。
粘り続けて2時間が経過していた。釣果はというとレインボーニジマス7匹。
他のユキウグイという魚だったりもでるのだが、大河の鮭だけピンポイントで出ない。
「来たッ! お、今度はいつもより手応えが違うッ! これは大物だぁーーー!」
私は全力で釣り竿を引っ張る。
すると、魚が飛び上がり陸に落ちた。結果は。
「ゴールドイトウ……。レア度9」
最高レア度の魚。魚なのだが……。
求めてるのこれじゃないんだよなぁ。私はとりあえずイベントリにしまう。
そして、再び釣り竿を垂らす。
「あー、この手応えは」
ゴールドイトウ再び。
レア度5が出ない。なんなら先にレア度9が2匹来た。本当になぜ?
「出る条件とかあるのか……?」
「さぁ……。検証しようにも何もわからないですし」
「とりあえず釣って釣って釣りまくろう!」
それでも出なかったら条件を探すしかない。
「生息地はきちんとこの辺りを指してますね。場所が違うということもなさそうですし」
「来たァ! いつもより手応えが違う! これはきっと大河の鮭だぁ!」
釣り上げる。
大概のブリだった。レア度5。
「お前川魚じゃねぇだろがい!」
あとなんだ大概のブリって。嘲笑ってんの?
レア度5はやっと出たけど違う魚だし、なんかこの魚ふっ…とバカにしたような顔をしている。ムカつく顔をしている。
「ああああああ、マジででねぇーーーー! 確率どうなってんだよ! 本当になんか条件があるんじゃないの!?」
「私探してきましょうか?」
「頼む……。本当に出なさすぎるから多分ある」
アルトが川を登っていく。
私は釣り糸を垂らしておく。ヒット。ブリ。ヒット。ブリ。ヒット。ブリ。
ブリブリブリブリ……。何で連続してお前が来るんだ。
数十分が経過しただろうか。
アルトは残念な顔をして戻ってきた。
「それらしきものは見当たりませんね。川の上流まで行きましたがなかったです」
「…………見落としてるだけかもしれないよ?」
「かもしれません。今度エルさん行って探してきてください」
「わかった。私も見つけられなかったらないってことだね」
私は立ち上がり、アルトが釣り糸を垂らす。
「ヒット。あ」
「あ?」
銀色に輝く鮭が釣れた。
大河の鮭と結果が出ている。
「「…………」」
おい、交代したらいとも簡単に釣れたんだが。
要するにいまの今までは割とガチで何の関係もなく出てなかったって、コト?
「……今の今までは出てなかっただけみたいですね」
「時間返せよコラ。なんだったんだよ今の今までの苦悩。条件とか必死に考えてた私がバカみたいじゃん!」
「むしろレアなものばっか出たからお得じゃないですか?」
「時は金なりって言うだろ……。前もこんなことあった……」
レア度高いものが出過ぎてレア度低いものが出てこないという逆転現象が起きている。
いや、ほんとマジでこんなに苦労するとは思ってなかったよ。




