氷の女王は笑う ②
トネクスの噴水に落ちた先には雪国だった。
雪が降り積もっている街中。建物があるが、人の気配はなくただただ雪で冷えているだけの街。
「どこですか……ここ……?」
「さぁ……」
変な世界に迷い込んでしまったみたい。
差し詰め不思議の国のアルトwithエル。ってか本当にここはどこだ。
「おやおや……。女猫が一人と天使が一匹……。ここで何してるのかな」
奥の方からやってきたのは水色の浴衣を着た美しい女性。
雪と見間違えるような白い肌に青い髪と目をしている。冷徹で、冷淡な印象を受ける。
「…………っ」
私は警戒して熾天使の剣を出す準備をしておく。
この女の周囲には氷柱が浮いており、攻撃されかねない。いつ攻撃されてもいいようにしておかないと。
「そう身構えんでもよい。ここに入ってきた久方ぶりの客人じゃ。丁重に持て成そうぞ」
「…………」
「そうじゃそうじゃ。お互い名を知らぬな。妾は氷の女王のアイシクル。ま、そなたらも薄々勘づいておるとは思うが人間ではない」
「……アルトです」
「エル」
「アルトにエル。良い名前じゃの」
アイシクルは不気味な笑みを浮かべる。
「それでここはどこなんですか?」
「ここは鏡の国。現実とは真反対の情景を映す国じゃ」
「鏡の……」
不思議の国じゃなく鏡の国のほうかぁ。
「どうやったら戻れますか」
「戻る? 不可思議なことを言いおるのぅ。戻る必要はありはせんだろうに。ここにいればその世界で感じていた不平等さも、不幸も、何もかも反転する。自身の置かれた境遇に不満ではなかったか? 自身に対する他人の評価が嫌ではなかったか? それすらも反転させるのだ。ここにいれば不幸なものほど幸福になるのだ。そなたらはここに来れたということは不幸であったということ。戻る必要はない」
アイシクルは不敵に笑うが。
「ま、お茶目はこの辺にしておいての……。戻る方法はある。妾が元の世界に帰せる」
「じゃあ」
「だがのぅ……。力が足りぬのじゃ」
「力?」
「長年何もしとらんかったからの。年々衰えていって……。妾もよる歳の瀬には勝てんの〜」
「えぇ……」
要するに長年何もしてなかったのでめっちゃ衰えたから戻せるような力がないということですか。
「じゃから妾の力を取り戻すため、この世界で妾が指定するものをとってくるのじゃ」
「はい」
「これが指定するものである。持ってくるが良いぞ」
《スペシャルクエスト:氷の女王は笑う を開始します。なおクリアするまで他プレイヤーがいる世界には戻れません》
スペシャルクエスト……。こういうのがあるのか。
とりあえず私たちは指定されたものを見てみることにした。
メニューを開きクエスト項目があるのでそこをタップ。ウインドウに今現在受けてる依頼があるので、スペシャルクエストをタップしクリア条件を開くと指定されるものが載っている。
指定しているものはというと。
・融雪の白桃
・大河の鮭
・白銀のグリズリーの肉
・秘湯にんじん
の四つ。それぞれあるエリアを教えてくれているので優しい。
まずは……。




