氷の女王は笑う ①
新しい職業とやらがやはり気になる。
私は始まりの町を抜けてトネクスの町に向かう。私は知りたいことがあった。
何となく出てきたはいいものの、やりたいことをするためのやり方がわからない。
「転職ってどうすればいいんだ?」
進化とかは教わった。が、転職のやり方がわかんない。どこに行けばいいの? ハロワ?
ブリさんにメッセージで聞くのもアレだしなぁ。いつもはテンコとかセルリアンが一緒にいるから聞けたんだけど。
そう考えていると、どんっと誰かにぶつかる。
「あ、すいません」
「いえ……。あたしも不注意だったので」
水色の髪をたなびかせた女の子が尻餅をついている。私は手を差し伸べた。
「あなたは噂の天使様……」
「すごい有名人だね私」
「まぁ、天使は珍しいですからね」
私の手を取り立ち上がる女の子。
プレイヤーネームはアルトというらしい。
「あの……。エルさん。エルさんは転職の仕方ってわかりますか」
「いや……。私も探してたんだよ。どーやって転生するのか……」
「そうですか。ここで会ったのも何かの縁ですしあたしと探しますか」
「そーだね。二人ならならなんか見つかるかも」
ということでアルトと転職のやり方を模索することになった。
この世界にハロワなんてものがあるかは知らないが、トネクスの町にないならやっぱり次の町にあるんだろうか。
「それっぽい施設ないなー」
「ですね。くまなく探しましたが……」
この町にはないのだろうか。
私たちはとりあえず噴水の前に座る。疲れたので小休憩。私たちは世間話をしていた。
「実は私エルさんと同じ高校生で。夏休み終えてから転校することになってしまって」
「あら。夏に?」
「その……。恥ずかしい話弟がやらかしまして」
「弟さんが?」
「中学で暴力沙汰を……」
「あー」
それで町に居づらくなって転勤するってことか。
「大変だね」
「はい。でもまぁ……あたしはダメージ少ないんでいいんですけど……。友達もあんまいなかったし」
「悲しいこと言うなよ」
「私って取っ付きづらいですか。一応このアバターはリアルそのままなんですけど」
「え? あー……」
無表情。冷徹な感じがする。
性格がキツそうというわけではないが、素っ気なさそうな顔ではある。
少し吊り上がった目が少し威圧感を与えてるのだろうか。あとにっこりと笑顔ではないのも怖い。
「まぁ……取っ付きづらいのはわからなくもない」
「そうですか。私昔から表情があまり顔に出なくて。冷たいとかよく言われるんですけどそこまで。私としてはものすごく喜怒哀楽はハッキリしてるつもりなのですが」
「……笑顔をしてみて?」
「はい」
薄らと口角が上がったように見えるだけで表情に動きはない。アバターですら表情筋が仕事してない……。
「……顔が一切動いてない」
「アバターならきちんと笑えると思ったんですが」
この人も難儀な人なんだなぁ。そう考えていたときだった。
つるっと噴水についていた手が滑り、私たちは噴水の中に落ちる。
この噴水深い……? とりあえず噴水から出ようと上に登ると。
「……ここどこだ?」
「わからない」
知らない場所にやってきてしまった。




