転生について
私は空を飛びながら、矢を放つ。
なんとなく感覚が掴めてきた。割と私はエイム力があるようで、今のところ百発百中である。
「すげー……。ってかいいなぁ。私も空飛びたーい」
「なら転生してみれば?」
「うーん、天使って多分特殊な種族だから転生祭壇で出来ないと思うんだよね」
「転生祭壇?」
「違う種族に転生するための祭壇なの。転生に必要なアイテムを備えて祭壇を登ると転生出来るんだ。エルフ、ドワーフ、魔人、獣人とか色々あるよ」
そんな場所があるのか。
私は祭壇ではなく泉?に落ちたって言っていた。私がそのことを話すと、テンコは少し考え込んでいた。
「やっぱ特殊な種族は泉か。その泉はどこにあったの?」
「……上?」
「……空?」
テンコは空を見上げる。
「ランダムスポーンで偶然出現した泉の上に落ちたってこと……? マジで運命的な何かあるんじゃない……?」
「そんなに幸運なの?」
「転生の泉は出現条件とか何も分かってないんだよね。なった人はまだ数人程度しか確認されてない。みんな出そうと躍起になってるし、解析を試みてる人いるけどマジで分かってないんだよねー」
「…………」
「今日、エルはゲーセンのくじ引きキャッチャーでヘッドギア当てて、福引でアルフロ当てて……。マジで何かに導かれてない……? 豪運すぎて怖いんだけど」
そう言われると私も少し怖くなってきた。
たしかにものすごい豪運。まるで何かに導かれてるみたいな展開だ。
やばい、マジで運良すぎて明日死ぬんじゃないの?
「ちなみに何か条件を満たしましたとか言われた?」
「いや……。普通にスポーンしたら落ちただけ」
「……天使ってゲーム開始直後じゃないと転生出来ないってことあるのかな」
「さ、さぁ……」
私とエルも困惑しているが。
『死ぬほど運が良すぎだろ』
『これは検証班大変っすね……。何度もアカウント作り直す羽目になりそう』
『俺もなー、特殊な種族になりてぇよー』
コメント欄の人たちもだいぶ困惑している。
天使……。特殊な種族ということか。数人いるとは言ってたけど全員天使……なわけはないな。
となると他にどんな特殊な種族がいるんだろうか。なんか気になる。
「まー、気にしてもしゃーないか! 戦闘にはだいぶ慣れてきたっぽいしここらでボスいっとく?」
「まだ早い。もうちっと念入りにレベリングする」
「えぇー、いざとなったら私がキャリーするよぉ?」
「そういうことはいらない。私の実力じゃ敵わなくなってきたら私が困る。少なくともボス挑むための適正レベルまでは上げておきたい」
「……そうだった。エルってポケ○ンでも最初の草むらで一回進化させてからいくレベルだった」
どのくらいまで上げればいいのだろう。
この始まりの平原のボスを倒したら次の町に行けるみたいだから早めに倒しておきたい。でも適正レベルがわからないからとりあえずなんとなくで目標を設定するしかないか。
とりあえず15……まで上げておけば問題はないだろう。
「あ、エル、スキルポイントって振ってる?」
「なにそれ?」
「レベルで上げるステータスの他に自身で任意のステータスをあげるんだよ〜。HP、MP、攻撃、防御、魔法攻撃、魔法防御、器用さの7つ! 振り直しは施設に行かないと無理だけど伸ばすステータスがあれば振っておいた方がいいよ」
「ふーん」
私は弓を主軸として戦っている。
光の矢はMPを消費して使うのでMPはマストか。防御は……。まあ、攻撃を避ければ問題ない。被弾しなければ実質防御力は無限だ。
MPと攻撃に半々ずつかな。火力も大切にしないと。
「レベル上がるごとに2もらえるから振っておいた方がいいよーん」
「ん」
「じゃ、レベリング! と言いたいけど今日私はおしまい。これでも2時間経過して勉強とかしないとやばいからさぁ」
「わかった。おやすみ」
「おやすみ! 配信見てるみんなもバイバイ!」
カメラが消え、テンコもログアウトしていった。
私もログアウトしておこう。とりあえずログアウトボタンを押せばログアウトできるみたいだ。
「……明日もレベリングかな」
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