金持ちの恐怖
アルフロにログインし、遊ぶことになった。
テンコも迎える準備はできており、私とテンコはあのお嬢様のセルリアンの到着を待つ。セルリアンもこのゲームをプレイしているらしい。
そしてやってきた。
「ハイッ、運命の人!」
「……セルリアン?」
リアルモジュールのようで、現実とほとんど同じ顔をしているセルリアン。
だがしかし、エフェクトがなんかキラキラしている。
「私は聖女セルリアン。回復魔法が得意ですわ」
「ヒーラー……?」
「お、うれしい。加入する?」
「もちろんです! 運命のお方がおられるギルドに加入しないのはありえませんもの!」
セルリアンがエンジェに加わった。
白を基調としたドレスのような装備。まさしく聖女という雰囲気を醸し出している。私を運命の人と呼ぶこと以外は完ぺきにみえるんだがなぁ。
「……なぁ、セルリアン。スキルの秘伝書持ってない?」
「いりますの!? ちょうど一冊持っているんです!」
「ありがとう、運命の人」
「ふふ、いくらでも差し上げますわ~~~~!」
私は運命の人からスキルの秘伝書を譲ってもらう。
「現金だねほんと……」
「依頼をこなすよりは手っ取り早いからな。ありがとう」
「いえいえ。運命のお人のお役に立てて光栄の極みですぅ!」
持つべきものは運命のお人だってね。
私は早速スキルの秘伝書を使ってみることにした。巻物状になっているようで、スキルの秘伝書を使用するを選ぶと、巻物が開かれる。
《スキル:劫火 を習得しました》
「スキル、劫火……?」
効果としては。
【劫火:武器に高温の炎をまとわすことができる。攻撃が当たると爆発、範囲内の相手に爆発ダメージと火傷状態が付与される。単体でも使用可能】
というものだった。
どういうものなんだろうかと思い試してみることにする。モンスターめがけてスキル:劫火を使用。すると、光の矢の先に青い炎が出現した。
青く燃える炎。炎って温度が滅茶苦茶高かったら青く燃えるんだったか。
狙いを定め、矢を放つ。一角ウサギに矢が当たった瞬間。大きな爆発が巻き起こったのだった。青い爆炎が私たちを包み込む。
「うわぁ」
そういう感想しか出てこない。
火力スキルが欲しいとは言ったがここまでエフェクトが派手なものは欲しいといってない。火力は高そうだがそうじゃない。もっと自分の攻撃力を上げるスキルとかをだな……。
「すっご……。ってか劫火ってなに? 結構強いスキルっぽいけど」
「スキルの秘伝書はランダムでスキルが手に入るんだろぃ? よくこんなピンポイントで……。というか、この威力ならレア度6以上のスキルの書じゃないと手に入らねぇんじゃねぃか?」
「え、レア度8のものを差し上げただけですけど?」
「「ぶっ」」
テンコとブリさんが吹き出した。
「おま……それレア中のレア……」
「それ他人にあげられるの!?」
「いいんです。運命の人のお役に立てるのならば……」
「……レア度8ってそんなやばいの?」
「スキルの秘伝書の最高レア度。マジで手に入れる手段が見つかってない。依頼をこなしてとか、特別なクエストをクリアする必要があるのかとかわかってないんだよ」
「……うわぁ」
そんなレア度の物を持っていることにも驚きだがそんなレア度の物を使わせてくれたの? マジで何なんだこの人。
「どうやって手に入れたの!?」
「さぁ、そこまでは」
「……チートか?」
「そんなとんでもない! お金で人を雇って死ぬほど頑張ってもらっただけです!」
「金持ちこっわ!」
要するに雇った人で人海戦術で頑張って手に入れた代物と……。金持ちってまじで規模が違うから全然やることなすこと庶民と違いすぎる。
金を持ってると豪語しているテンコですらドン引きレベルのことをしていた。さすがにこのレア度の物を手に入れるために人を雇ってプレイさせるというのは想像してなかった。
「あなたの配信を見てから、あなたに惚れ、あなたのために手に入れたんです!」
「……エル、幸せにしてやんなよ」
「幸せにします」
「本当ですの!?」
ちょっとそこまでしてもらって邪険にするのはあまりにも失礼というか。私、今現在だいぶ厚顔無恥みたいな存在になり果てている。ゲーマーとしては嫌われる乞食行為で手に入れたようなものだし……。
なんというか、幸せにしなくちゃいけないような気がしてきた。
「ならほかにもスキルの秘伝書を……」
「さすがに今はもういいです……。あとは自分で頑張ります……」




