イベント反省会
幽霊状態でも会話だけはできるらしく、半透明でありながらもノウンはぎゃーぎゃー騒ぎまくっていた。
おっさんたちはそれじゃと言って、私は防御も何もしないおっさんたちを斬ってポイントに変える。が、現在私一人になってしまった。火力が大幅に減ってただただ硬いだけの置物ができてしまった。
「……もう無理みたいだね」
結局私はイベント最中、倒されることはなかった。
が、私自身もプレイヤーを倒すことができず、追い詰めては逃げられ留を繰り返してイベントが終わってしまったのだった。
黄金豚の貯金箱を持っているプレイヤーが結局優勝したらしく、私は消化不良のままイベントが終わる。
『¥10,000 まぁ元気出して』
『火力が足りない……』
『¥2,000 なんかめっちゃすんなり終わっちゃったね……』
こういう形で詰むとは思っていなかった。
なんというか、茫然としているだけである。やっぱ私って火力スキル詰むべきだわ。というか、遠距離の弓と防御性能ってかみ合っていない気がする。
私は茫然とギルドに戻ると、ブリさんが少し慰めるような感じの優しい目になっていた。
「配信で見てたぜ……。その……課題だな」
「そうだね。これは課題かも。火力が足りなさすぎる」
火力スキルが一切なく、ただただ硬いだけの代物。
そりゃ倒しきれなくて逃げられやすいわな。威嚇も連発して使えるわけじゃないから使いどころもまぁまぁ選ぶし……。
「ごめんよぉ~~~! 私ちゃんのせいでぇ~~~~!!」
「いいよ。あれはさすがに不意打ちすぎたから」
今現在、後夜祭ということで再び配信枠を立てて、視聴者の人と反省会。
このイベントでやっぱり浮き彫りになった私の課題。火力スキルをなにかしら複数個詰む。だがしかし、そういうスキルってスキル屋に行けばいいのかといえば違うらしく。
「あれは生産職専門の店みたいなものだな。あっこからスキルの書を買ってそれを使って生産するとそのスキルが作って代物でぃ」
「そうなんだ」
「それに、あそこは汎用スキルしか置いてねぇ。火力が上がるのもちっせえ倍率っていうのも多い。狙うならやっぱりスキルの秘伝書だな」
「スキルの秘伝書?」
「クエストなり、何らかのストーリーの特別報酬なりでもらえるもんだ。スキルの秘伝書のレア度で得られるスキルのレア度も変わってくるのさ」
「ほえー……そういうのがあるのか」
「欲しいんならとりあえずこのギルドの依頼をこなすんでぃ。時折手に入るやもしれんぞ」
結構やっているつもりだったんだけどな。
これからちょっと本気でやっていかなくちゃならないか。
「私ちゃんも持ってたらあげたかったんだけどなぁ~」
スキルの秘伝書というのはわりかしレアなのかもしれない。
テンコが持っていたりしないだろうか。テンコにお願いしてメイド服でも何でも着てあげて乞食しようかな。でもそれはちょっとダサいか。
そう思っていた時だった。
『¥50,000』
赤スパが飛んできたかと思うと。
『¥50,000』
『¥50,000』
『¥50,000』
『¥50,000』
『¥50,000』
『¥50,000』
『¥50,000』
『¥50,000』
なんかめっちゃ赤スパ連騰してきてるやつがいる。
「え、なにこれ怖い!」
「な、なな、何が起きてんだァ?」
『なんか赤スパ連騰してるやつがいる』
『まだ続いてて草』
『え、なになになに』
赤スパの連騰が続く。
そして、途切れる。
「……いくらきた?」
『数えてみたらざっと200くらいはあった』
「え? 全部5万と仮定してそれが200個ってぇと……」
「い、いっせんまん……」
「ぶっ」
思わず吹き出してしまった。
1000万も連騰する奴いるの!? なんで!?
「怖い怖い怖い! なになになに!?」
「この私の配信のどこがよかったの!? 慰めとしても金額大きいぜ!?」
「…………ロマンあんなぁ!」
「ロマンじゃねえよ! い、いい、一千万だぞ!? 女子高生だぞ私!」
『滅多にみられないエルの焦り顔』
『いきなり1000万投げつけられたらそらこえーでしょ』




