特殊アイテム:映し絵の本
二冊の本。
タイトルも何もなく、中身もない。これが特別なアイテムなのだろうか。
「ん? 鑑定してみると使用するかどうか聞かれたよ!」
「マジぃ?」
私はとりあえず鑑定してみると使用という選択肢が出てきた。
とりあえず使用するを選ぶ。その瞬間、本は一人でに浮き上がった。浮き上がった本がパラパラと開き、開いた面が私たちの頭に乗っかる。
「え、なに? バカのサンドイッチ?」
「パンじゃないぞ」
数秒後、ポトリと頭から本が落ちると、本の表紙には私たちの顔とプレイヤーネームが描かれていたのだった。
《プレイヤーの特殊アイテムの使用を確認いたしました》
《特殊アイテムの説明が入ります》
というアナウンスが流れた後、私たちの目の前にウインドウが表示される。
特殊アイテム……。さっき使ったこれのことか。私はとりあえず特殊アイテムの説明を読む。
【この箱庭には特殊なアイテムが3つ存在します。映し絵の本、デコイの石膏人形、黄金豚の貯金箱の3つです】
【映し絵の本は最初に獲得したプレイヤーの情報を読み取り、所持しているプレイヤーを全員倒さないとポイントが入らなくなります。倒されてしまったプレイヤーは幽霊状態となりもう片方が倒れるまで何も出来なくなります】
【デコイの石膏人形は耐久値分のダメージを肩代わりします。また、ペアが倒された際にも使用されペアがその場ですぐ復活します。ですが重いので移動速度が減少します】
【黄金豚の貯金箱は倒されるごとにポイントが貯金箱に溜まっていきます。最大まで20まで貯められ、10回倒れた瞬間、貯金箱が割れ中のポイントを獲得できます。ですが奪われると中に入ったポイントがそのまま奪った本人に行き渡ります】
なるほど。これは映し絵の本。私たちが所持していることになったようだ。
【特殊アイテムは強奪することが可能です】
【直接攻撃ではない攻撃で倒れてしまうと落としてしまいます】
【スキル:盗む での強奪は不可能です】
なるほど、直接攻撃じゃない攻撃か。私の弱点だな。
私は硬い。が、それはあくまで物理攻撃や魔法に対してである。毒とかそういった固定ダメージは軽減されない。
「おー、じゃあ私ちゃんたちはどっちも倒れないと死なないんだ!」
「みたいだね」
「じゃー、もっと捨身になれるな!」
「それはそれで困るけど、まあ、今までよりはね」
ただどうやって奪うかも言われてしまったのでこういうの増えそうだなぁ。
固定ダメージに関しては全然対策出来てないからな。どうしたものか。
「んじゃ、早速狩りにいこうぜ!」
「はいはい」
とりあえず固定ダメージだけは気をつけないとな。
私たちが洞窟から出た瞬間、ノウンの頭に矢が突き刺さる。
ノウンは有無を言わず倒れた。クリティカル……。いきなり死ぬやつがあるか。
「あれ、消えない? じゃあお前さんが例の特殊アイテムの所持者か。効果を見るに映し絵の本」
「…………待ち伏せてたの?」
「いや、なんか出てくるのわかったからな」
「タイミング悪ー……」
弓矢を構えているおっさん。
その隣には骸骨のマスクを被った人が立っている。骸骨マスクの人は大きな鎌を振り回して私を切りつける。
「硬い」
「お前さんは噂の天使ちゃんじゃねぇか。いつも配信見てるぜ」
「そりゃどうも。やる?」
「いや、お前さんからそれを奪う手段はねえ。それにめっちゃ硬いのは情報として知ってる。倒すのも骨が折れる」
「…………」
「お前さん二人の1ファンである俺としてもお前さんを倒したくはねぇ。エルちゃんのペアを倒したのは悪かった。お前さんたちだと思ってなかったからな」
誰か出てきたから反射的に撃ったのか。
それがクリティカルで思いっきり大ダメージでミノタウロス戦で少し負ったダメージと合わせて全部の体力が削り取られてしまったんだろう。
「いや、ほんとマジで。死ぬと思ってなかったんだわ」
「ここにきて運が悪かっただけかよ」
「……映し絵の本の効果で片方は幽霊となって何も手出しできねえ。かといってお前さんが死なねえと復活できねえ。いや、ほんとすまん」
「まったくだよもう!!!」
「「うわなんかでた」」
私の隣に半透明のノウンが立っていたのだった。




