ワクワク ②
空から落ちてきたプレイヤー二人。
一人は白い鎧を纏った女騎士のような出立ちで一人は黒いローブを着ている女性。
二人ともものすごく強そう。というか強い。
「ハイヴォルテージ使っちゃったからなぁー。勝てそう?」
「わかんね。でもま、やるだけやってみようぜ」
「りょ!」
白騎士の人…‥名前をセイントロードというらしく、凛々しい女の顔をしている。
凛々しい白騎士は剣を振り下ろしてきたので黒剣で受け止める。
「天使のエルだな! 私は貴様に興味を持っている!」
「……天使だから?」
「そうだ! 天使のなり方を教えて欲しい!」
「条件とか知らないよ」
私とセイントロードは打ち合っていた。
スキルの補正もあるのか、あちらの方が剣捌きが上手い。双剣には劣るが、それでもなお対応しづらいほどの手数の多さ。集中切らしたら負けるが……。
あっちの黒い魔法使い……ダークメアの横やりも注意しなきゃならない。あちらはノウンが攻撃を仕掛けて気を引いているが。
「すごいな! 貴様は狩人だと聞いたがスキルの補正もなしにこの私と打ち合うとは!」
攻める隙がないな。
攻撃に転じることが出来ない。いずれジリ貧になってこっちが負ける。
黒龍の波動か威嚇を使うべきか? いや、それは逃げるときに使いたい。
「黒と白の相反する色の天使! カッコよくて羨ましいぞ!」
仕方がない、あーだこーだ考えてると負けるか。無理矢理にでも隙を作って攻撃に転じる。
「威嚇」
私がスキルを使うと、セイントロードとダークメアの二人は動けなくなる。
「動けない……」
「スキルか。私は拘束系のスキルには耐性があるんだが」
これは威圧系のスキル。拘束系は無効化されても威圧系は無効化されないようだ。
「すっげーーー! 何そのスキル!」
「感動してないで攻撃だよ」
「あ、そか! 駒ドリル!」
ノウンは大きく回転し、双剣を突きつけながら突進。ドリルのように相手を貫く技のようだ。
ダークメアの方が大きく消耗している。駒ドリルは威力も高い……というか複数回切り付けた判定になるのか。
「っし、動ける」
「10秒ね。なるほど」
威嚇は5秒が10秒に延長されていた。必殺技というのはこういうことか。
たしかにこの差はデカい。つけた方がお得か。
「光の弓矢」
私は光の弓を出現させ、射る。
ダークメアと呼ばれた女性に矢が突き刺さった。が、倒せていない。ここまで削れてなお削り切れないか。体力が無尽蔵にある……というわけじゃなさそうだが被ダメを抑えるスキルがありそうだな。
だが、これ以上相手するのは正直面倒くさい。あまりこだわるべきじゃないか。強すぎる相手と戦ったって時間の無駄。相手すべきは私たちと同レベルくらいのほうがいい。
……いや、それは逃げじゃないか?
強い相手から逃げたところでなにが得られる。死ななかったっていう安心感か?
それは……ちょっと私のプライドが気に食わん。弱くて負けたの方がまだ納得できる。
「……なあ提案があるんだが」
「なんですか?」
「お互いこれ以上戦うのやめにしないか?」
「なぜ?」
「正直言って君と戦うのは時間の無駄だ」
「そっすか」
「ん? あぁ、すまない。言い方がキツくなってしまったな。君は硬すぎて倒せない、あちらのアンノウンも実力が高く、このままだと長期戦になる。それはお互い望ましくないだろう」
「まあ……」
このイベントはポイントを稼ぐのが目的なのだ。本来なら一戦一戦時間をかけてられない。
私たちは長期戦になってしまうのでお互いこれといぅた得がないという判断か。
「とかいって不意打ちとかは?」
「カメラが回っているなかでわざわざ不意打ちという卑怯な真似をして勝つほど私たちは落ちていない」
不意打ちやるにしてもあまり人前ではやりたくないか。たしかに良い印象にはならないからな。
「覇道のセイントロードさん、楽しかったです」
「……なぜその名前を?」
「え、天高く燃ゆる世界のセイントロードモチーフですよね?」
「…………っ!! ダークメア!」
「なに?」
「てんもゆがわかる子がいた!」
「マジ!?」
セイントロードさんとダークメアさんは私の手を握りしめる。
「ありがとう、私の作品知ってくれて」
「え?」
「フレンドになろう!」
《セイントロード からフレンド申請が届きました》
《ダークメア からフレンド申請が届きました》
この人が作者なのか。
数年前に週刊少年ヂャンプで連載されていた打ち切り漫画天高く燃ゆる世界。
私はあの設定が割と好きで好んで読んでいたが……。
「嬉しいなぁ……。誰の記憶にも残ってないものとばかり……」
「いや、私は普通に好きでしたけど。粗削りな部分はあったし打ち切られるのもまあ納得はできたけど光る物は確かに感じてたんで……」
「……私を殺しなさい!」
「え?」
「そこまで嬉しいこと言ってくれて感無量よ! 私を殺してポイントにしなさいな!」
「そうだな。さくっと殺してポイントにしてくれ」
「……いいの?」
「いいのよ。私はもう感動して何もできないから。あなたのような読者に殺されるのは本望」
というので、私はお言葉に甘えて光の矢を複数本放ち、ダークメアを倒す。
「ありがとう」
「倒してありがとうって言われるのはなんか複雑」




