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イベントがあるらしい

 テンコはしばらくの間、勉強させられることになった。うわーんと泣きながら机に向かってる様子が目に浮かぶ。

 私はそんなテンコを心配しつつもゲームにログインすると何やら通知が届いていた。


「公式イベント?」


 どうやら夏休みに合わせて公式でイベントを開催するようだ。

 ペアでのバトルロワイヤルみたい。ペアで応募してその一週間は運営が用意した箱庭でバトルするらしい。掲示板とかみてみると去年もやっていたようで今年も開催されるんだ〜との声が。


「出てみたいけどペアがな」


 テンコはこの期間、補習でログインできないことが多い。流石に赤点を5つというのはテンコのお母さんも笑えるようなことではなく、心を鬼にしていた。

 だから頼みの綱のテンコは誘えない。誘ったら私が殺されかねない。


「アシュリーに声を……」


 と考えていたが昨日ナデナデされたとき、アシュリーは九州の祖母の家に行くからゲーム出来ないと嘆いていた。

 うーむ、希望が絶たれた。せっかくだから参加したかったが参戦するペアがいないんじゃどうにもならない。


「へへ……。そこのお嬢さんちょっといいっすかねぇ」


 私が悩みながら街の中で立ち尽くしていると手をさすりながら変な笑顔を浮かべた女の子がやってきた。


「なんですか?」

「みたところ天使のエル様とお見受けいたします」

「そうですけど」

「自分、イベントに参加するペアを探してるんすけど組まないっすか。へへ……」


 なんと向こうからペアがやってきてくれた。

 名前は……アンノ ウンと書かれている。


「……V?」

「へへ……。しがない個人Vやらせてもらってやす……。どっすか」

「いや、まあいいけど……」


 どうりで名前がVTuberぽいなと。

 下卑た目を浮かべゴマをするように手を擦る。なんというか所作が三下みたいな……。


「戦えるんだよね?」

「もちろんですとも! これからフィールドに繰り出しましょう。私ちゃんの実力みせてやりますとも」


 とりあえず私とやり合うことになった。

 アンノの武器は双剣。右手と左手に剣を持ち、瞬時に距離を詰め切り掛かってくる。


「おわっ!」


 私は初撃をギリギリでかわす。


「へっへー。双剣は手数が売り! 全力で攻め立てちゃる!」


 右手の剣をかわしたかと思えば、左手の剣に被弾する。 ダメージは大したことなかった。思ったより火力ないなと一瞬思ったが、そもそも私の加護と装備で大幅にダメージを軽減してるのでそらそうだと気づく。


「何ダメージ入ってます?」

「1」

「お硬いのね」

「まぁね」


 私はとりあえず距離を取り弓で狙撃。

 だがしかし、剣で弾かれ……ない。光の矢はガード不能で剣をすり抜けアンノに当たる。


「あれぇ!? 相殺できると思ったのに!」

「相殺すら出来ないんだ光の矢」

「ずるい性能だなァ〜〜! いいなァ〜!」


 確かに言われてみれば防げないって相当強いな。

 相手はライフで受けるか回避するかの二択を迫られる。ガードという選択肢が消える以上、なかなかやばいんじゃないだろうか。


「ま、防御出来ないのわかったならそれ相応の動きしなくちゃね! ガコンッ!」

「適応?」


 私は矢を放とうとすると、アンノは思い切り地面を蹴り上げる。

 土埃が広く舞い散り、アンノの姿を隠した。目眩し……。見えなきゃ狙撃されないという魂胆か。


「チッ」


 私は剣を手早く抜き、双剣の攻撃を防ぐ。


「わーお。剣も使えるん?」

「練習した。狩人だからスキルもなんもないけど」

「両刀できんのずっる!」


 ただ双剣は手数が多い。

 全てに対応は出来ないな。


「こりゃ強すぎるンゴ……。やめやめ! 実力お互いわかったっしょ!? ね、組も?」

「わかりました。私もペア欲しかったので組みましょ」

「やった! よろしくね、エルちゃん!」

「よろしくお願いします」










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