買い物と給料
土曜日。私は外行きの服を着て家の前で天子を待つ。
天子の家は真向かいなので迎えに行くもなにもないが……。とりあえず待っていると、可愛い服を着た天子が玄関から出てくる。
「おっまた〜! じゃ、買い物いこー!」
「…………」
「どしたの?」
「いや……可愛いなって思って」
「んもう! 褒めても何もでないゾっ」
やっぱ子役やってただけある。ものすごく整っている。女神様みたいだな。
天子は昔から可愛いんだ。真向かいに越してきた時、本当に天使が引っ越してきたかと思ったくらいだ。
「そういう笑留も……。何その服」
「何って……Tシャツと短パン……」
「男子小学生かっ! 笑留ったら昔から服とか興味持たないよね〜。せっかく顔がいいのに」
「だって……服にかける金あったら私は漫画とかそっちにかけるし」
これでもいつも着ている兄のお下がりのダボダボTシャツじゃなくて普通のビシッとしたTシャツなんだが。
「しゃーない。服貸してあげるから」
「うす」
天子から服を借りたのだが。
「天子、ぶかぶか」
「……私より一回りサイズ小さいもんね〜。詰め物でもしときな」
「やっぱTシャツでいいよそっちの方が楽だし」
「ダメだよ。ってか牛乳よく飲んでるのに育たないのなんで?」
「知らん」
遺伝だろ。
私は仕方がないので今日、外行きの服を買うことにする。
本当は買いたくないが流石に外行きの服を持たずに生活するのは無理がきたな。
「さ、気を取り直していこー!」
私たちは街へ繰り出した。
私たちの町は都会といえば都会ではあるが、東京みたいな都会ではない。
イーオンとか普通にあるが、郊外に出れば田園風景が広がっていたりする。
「まずは服とか買おー」
「はいはい」
私たちは服屋に入る。
天子は服を吟味しているし、私も一応適当なのを見繕ってみる。
が、まあまあ高い。服1着買うだけで何冊漫画を買えることやら。やっぱ服買うのやめよーかな……。
「笑留、これどお?」
「んー、ま、いーんじゃね?」
「言うと思った。興味ないから適当に言ってるっしょ」
「うん」
「これだから笑留はねぇ……。男の子が女の子にTSしたみたいな感じの感性だからねぇ」
「ま、私は生まれた時から女の子だけどな」
さて、私はどうしよう。
1着は買うかーと思ってやってきたはいいものの、やっぱ買うのやめたくなってきた。
欲しい漫画……。そろそろ発売するんだよな。今月のお小遣いも厳しいし……。うーむ。これ買ったら新刊買えなさそうなんだよな。
‥…やめるか。服買うの。
「笑留、ファッションセンスとか磨かないとゲーム内でもダサいままだよ?」
「……まあ、それは天子に任せる」
「天使に合うコーデかぁー」
「まあかっこいい防具があったらそれ着るさ」
「……天使でフルアーマーとかやめてね?」
「なんで?」
「カッコ悪いから……」
フルアーマーダメかよ。
「うーーん……。ま、悩んだら全部買えばいっか」
「富豪だな」
「子役時代とかも稼いでたし今も現在進行形で稼いでいるから……あ」
「あ?」
「これこれ。きゅーりょー」
「給料?」
「私たち一緒に配信してるでしょ? 私だけお金もらうってずるいからさ〜」
「……すげー入ってる」
栄一が10枚は入って……どんだけ稼いでるんだ。高校生にとっては大金……。
「配信業だから収益は前後するけど基本折半ね! 私は全部あげてもいいけどお母さんがやめとけって言ってたからやめる」
「あ、うん……。でも私はまだ二日程度しかやってないぞ? こんなに多くていいの?」
「昨日めっちゃスパチャ投げられたから……」
あー、たしかにすごく投げられてた気がする。
あの黒いドラゴンからの加護おめでとう代とか、いいもの見せてもらったからとか言われてた。
「さ、買ってくるね!」
「あ、あぁ」
思いがけぬ収益。
……少しくらい豪遊しても許されるよな?




