ep.95
「やっぱり燃やしちまった方が早いだろ!!」
「もーやーすーなーって言ってるの!! ボクのリベットに迷惑を掛けようとするんじゃないよ!!」
『やぁ、おかえり。随分と雰囲気が変わったね』
謁見広場に戻ると、クランとリンコニが言い争いをしていた。
聞いた感じ妖精の森を燃やそうとしてるな?
「ただいま、ミウロゥ」
「随分と騒々しいですわね……見苦しくてよ?」
「人の話を聞かない方が悪いと思いまーす!!」
「あんなちみっ子どもの巣なんぞどうだっていいだろう!!」
「そのせいで戦争にでもなったら責任取れるのかって聞いてるの!!!」
「ンなもん、全部燃やし尽くしてやらぁ!!」
完全に売り言葉に買い言葉だな。
ミウロゥも首を横に振ってるし。
「仕方ありませんわね……お父様、先程の煙瓶を使ってもよろしくて?」
「そりゃいいが……どうするんだ?」
「こう使いますのよ」
エルナが瓶を1本手に持ち、クラン達目掛けて放り投げる。
ふんわりと浮くように瓶は放物線を描いて、クランとリンコニの足下で割れる。
「何でもかんでも燃やし尽ぐふっ、な、なにこゲホゲホ!」
「だからこうやっでふ、んだ。こりゃごふんごふん!」
「リルナ、スキルを使えますわね?」
「いいけど……どれ?」
「水系を使ってくださいな」
「はーい」
リルナがステッキをクルクル回してクラン達へ先を向ける。
「『水の流れる先に終わりはない。流れに身を任せどこまでも。流水』」
すると、突然虚空から水が勢いよくクランと竜王目掛けて落ちていく。
「「どわぁ!!」」
「おバカさんたち、熱くなりすぎでしてよ。頭から水でも被って少しは落ち着きなさいな」
「バカの王様が悪いんだよ!」
「道化が悪いに決まっておろう!」
「「あぁん?!」」
ダメだこりゃ。
全く落ち着く気配がない。
「エルナ、私もやりましょうか?」
「そうですわね……おバカさん達には丁度いいかもしれません。お父様、リルナ、下がりますわよ」
「はーい」
「ん?」
レルナがステッキをグルグル回しながら1歩前へ、俺たちはさらに後ろに下がる。
なんだなんだ?
「リルナ、念の為に壁を」
「はいはーい」
リルナがステッキで床をコツンと叩く。
「『頑丈な壁にあれ。固めて頑強に。土壁』」
すると俺たちの前に壁がせり上がってくる。
「おお!」
「レルナ、いいですわよ」
「はーい! ではでは、ドッカーンと一発いっちゃいなさーい!」
ゴロゴロと何か聞こえると思ったら、クランと竜王の頭の上に黒い雲が浮かんでいた。
バチバチしてないか?
あー……何をするかわかったから俺も一応やっておくか。
「『落ちろ、墜ちろ。天より神の怒りが降り注ぐ。瞬く間に落ちていけ。天雷!』」
「『華麗に咲け、新月の花よ』」
なんとか雷が落ちる前に2人にデバフを掛けられたな。
「ちょ、リベット!?」
「ぬぅ!?」
まぁ動こうとしたところで、意味は無いだろうな。
というか2人にもちゃんと入るんだな。
「「アババババ!!」」
「お父さん! ちゃんとできましたよ!」
「見てたぞ。すごかったな」
「むぅ。パパ、リルナもがんばった」
「もちろん見てたさ。2人ともすごかったぞ」
2人の頭を撫でる。
にしてもいつのまに魔法なんて覚えたんだ?
「恐らく竜王の試練で1つに戻ったことで、新たなスキルを手に入れたと思われますわ」
「あの時か。2人は他に何が使えるんだ?」
「私は火と風と雷と空間のスキルが使えます!」
「リルナは水と土と氷と空間のスキルを使えるよ」
空間魔法が使えるのは一緒なんだな。
で、それ以外にそれぞれ使えると。
今回もお読みいただきましてありがとうございます。
詠唱は長ければ長いほど強力になります。
詠唱短縮スキルもありますが、威力は半減します。




