ep.96
「頼もしくなったもんだ。俺も負けてられないな」
「お、お父さんは私が守るからいいんです!」
「パパはリルナが守るから安心して?」
「愛されてますわね」
そう言ってクスクス笑うエルナ。
それはそれとして、
「あれ、どうするよ」
『んー……丁度いいし砕こうか』
プスプスと煙を上げながら黒焦げになっている2人に近づくミウロゥ。
いや、砕こうとするなよ……
「だーもう! ここまでする必要あったかな!? クランちゃんの可愛いお顔が台無しじゃないか!」
「巻き添えとは酷いぞ、全く」
「……ぶふ……と、とりあえず、か、顔を洗って……も、もうダメだ……ダーハッハッハッハッ!!」
「ぷぷぷぷ〜、変な頭です〜!」
「もじゃもじゃ〜」
「見事なアフロヘアーですわねぇ……お似合いですけれど」
『ぷぷ……そのまま魔王の所まで戻る?』
いやぁ……ここまで見事なアフロヘアーになるとは思わなかったが、は、腹が痛てぇ。
「もう……仕方ないなぁ」
「あら、お似合いですのにもう戻しますの?」
「もういいの! それよりこれからどうするのさ!」
クランが手を1度叩くだけでリンコニもクランも元の姿に戻った。
まぁ2人の頭も冷えたようだし、丁度いいかもな。
「妖精の森もそうだが、1度賢者の塔を目指そうと思ってな」
『賢者の塔? なんでまた?』
「エルナになにかスキルを覚えさせたくてな。あとついでに妖精の森に関して何かわかるかと思ってな」
「なーるほど、その手があったね! いやー、燃やされなくてよかったよ」
「て、テメェ……」
リンコニが少し苛立っているようだが……まぁ我慢してくれ。
「ということだ。俺たちは次に向かうとするよ」
「……ふぅ。そういうことなら、助言だ」
「助言?」
「賢者の塔ってのは魔窟だ。賢者の小僧に連絡取れるなら絶対取っとけ。事情はミウから聞いちゃいるが……絶対に、絶対に! お前らだけで行こうとするんじゃねぇぞ! 何があるか分からねぇのが賢者の塔の馬鹿どもだからな!」
「そういうことなら……」
メニューからシステムを開いて住民カードを選択する。
念話か手紙を選べるのか。
とりあえず手紙で連絡を入れておこう。
近いうちに賢者の塔に向かう、と。
「……ところで念話ってなんだ?」
「簡単に言うと遠く離れた人と声でやり取りができるんだ。例えばここから王都にいる人とかね。あ、地底世界は届かないから注意してね」
「まぁ地底だしなぁ」
返事が来るまでどうするかね……王都まで戻るか?
「ん?」
そんなことを考えていると、肩を何かが突っついている感じを覚える。
「……小鳥?」
「チュンチュ」
「可愛いですね!」
「パパ、リルナにも」
肩に小鳥が乗っていたようだ。
とりあえず手を差し出すと、すぐに飛び移ってくれた。
「なんで小鳥?」
「そりゃ……俺様が言うのもアレか。とりあえず脚についてるもん見てやれ」
「脚……手紙か」
となると……やはり差出人はセトルだった。
紙は全部で2枚で、片方が許可証となっているようだ。
「この許可証をとある場所で見せろってさ。場所はミウロゥが知ってるからとか」
『ふーん……それならあの場所だね。まずは王都に戻ろう』
「それはいいんだが……コイツはどうするんだよ」
手に乗ったまま小鳥は動こうとしないし、リルナとレルナが触っても身動ぎ1つしない。
「ソイツも連れて行ってやれ。賢者の小僧が寄越したってことはソイツが案内人だろうさ」
「……まぁリンコニがそう言うなら連れていくか」
にしてもコイツに果たして名前はあるのか?
手紙にはなんにも書いてないし。
「お父さん、この子の名前はどうしますか?」
「パパが名前をつけるのがいいと思う」
「俺が? うーん……ルクチ……とかどうだ?」
「チチュン」
「喜んでるみたいですね!」
「ルクチ、よろしく」
鳥のオスメスなんて区別が付かないからどっちでもいいようにしたが……いいのか?
「ククク……」
『人の悪いリンコニだね、全く』
「竜だから悪くて当然だよなぁ?」
何やらリンコニがニヤニヤしているが……気にしないでおこう。
今回もお読みいただきましてありがとうございます。
雷が落ちたらアフロになるのは昔からのお約束ですよね。




