ep. 94
「……ところでこれを持って歩くのは疲れそうだな」
「空間魔法……は使えませんわね……あの2人を探し出さないといけませんわ」
「魔導人形っていうくらいだから使えてよさそうなのにな」
戦闘以外はできるらしいが、魔法も使えなさそうなんだよな。
図書館で調べるか……?
そういえば、賢者の塔があるんだったな。
メインストーリーにもあったし、そこで調べるのも良さそうだな。
そんなことを思いながら店の外に出ると、
「あ、パパ」
「ちょ、リルナ! 走ったら危ないですよ!!」
「おっとっと」
足下にどうやらリルナが抱きついてきたようだ。
「パパの顔が見えない?」
「そりゃ木箱を持ってるからな」
随分と沢山くれたもんだよ。
レルナが近づいてきて、リルナを離してくれたから、そっと地面に木箱を置く。
「レルナ、悪いがこれを空間魔法で収納できるか?」
「もちろんです! お父さんのスーツケースはどうします?」
「んー……ロクトの所まで戻るまで預かっててもらえるか?」
「分かりました!」
試練の後に飛び立つ前にどうやら預かってくれていたようだ。
……俺も空間魔法覚えるべきか?
「お父様が何を考えているか分かりますわよ? その役目は私にお任せ下さいな」
「そうか? ならエルナに頼むか」
「ねぇ、パパ。あっちに面白いお店があったよ?」
「どんな店だ?」
「服屋さん?」
「お洋服が飾ってありましたね」
洋服か。
2つある店の内、片方が煙瓶でもう片方は服屋……食事とかどうしてるんだ?
「なら一緒に見に行くか」
「ん、こっちこっち」
「お父さん、こっちですよ!」
再び引っ張られ連れられた先には、看板に分かりやすく服の絵が描いてあった。
なるほど、服屋だな。
「いらっしゃ、さっきのお嬢さん達ネ? 親御さんも一緒カ」
「そんなもんだ」
中に入ると、独特なイントネーションの語尾をする竜人がいた。
ラフモと同じ感じだし、竜人でいいんじゃないか?
あとでリンコニにでもちゃんと聞くか。
「ここはどんな服を扱ってるんだ?」
「扱ってるわけじゃないけド……人の街に行った時にたまに買ってきてそれをここに置いてるだけだヨ」
「ラフモも着ていたな」
マネキンに民族衣装を着せて並べているのは店なのでは?
「ラフモに会ったんダ? いいでショ、アレ」
「まぁ似合ってたな」
「良かったら1着ずつあげるヨ。お客さん、リンコニ様を倒した人族だシ」
「……もしかして全員知っているのか?」
「竜の住処にいる連中は全員知ってるヨ」
それで視線を感じていたのか。
まぁくれるって言うなら貰うが……
【民族衣装】
〘男女兼用のデザイン。特になんの効果もなく、ただのオシャレ用の服〙
なんというか……チャイナドレス? っぽいな。
ポンチョまであるのか。
なんというか色々ある感じだな?
「パパどう?」
「お父さん、似合ってますか?」
「おー、いいじゃないか2人とも」
リルナは青で、レルナが赤。
それぞれの色をしたチャイナドレスを着ている。
「私も着ましたのよ」
「エルナは白か。それもいいな」
てっきり黒を選ぶかと思ったが……これはこれでいいな。
身長もある分スラッとしていて似合っている。
「俺は……このポンチョでも羽織るか」
「パパ、これとか似合いそう」
「いいですね。これにしましょう、お父さん!」
「お父様にピッタリでしてよ?」
3人に押されるがまま、黒いチャイナドレスを着ることに。
ズボンはそのままだが、いいのかこれで?
「お客さん、似合ってるヨ。帽子は外した方がいいけどネ」
「そりゃそうだな」
久しぶりにシルクハットを取る。
王都から随分と長い間被ったままだったな。
「そっちの方がいいネ」
「なら暫くこれで行くか」
たまには衣装チェンジも悪くない。
が、ステッキが少し合わないか。
そこはまた考えるとするか。
「お父さん、シルクハットお持ちしますよ!」
「助かるよ、レルナ」
やっぱり俺も覚えた方がいいような気がしてくるな。
今回もお読みいただきましてありがとうございます。
衣装チェンジ。




