ep.90
「……俺にどうしろと……」
「ククク、本来であれば意思が芽生えることの無い魔導人形に意思を芽生えさせ、竜王リンコニの頭にアダマンタイトの棍棒をぶつけることを思いつくお前だ。俺の想像を遥かに上回る面白いことをしでかすことだろうて」
「しでかすって……」
しでかしてきたつもりはないんだが……
「あぁ、それともう1つこれもやろう」
「札?」
種とノートの下には更に札が置いてあった。
なんだこれ?
「ソレはこの屋敷へ通じる魔法の札だ。使えば一瞬でここまで来ることが出来る。暇が出来たら来るといい」
【飛来札・地底世界屋敷】
〘使用することで特定の場所へ行くことが出来る札。使用回数に制限は無い〙
なんか……とんでもないもの貰ったな……
名前からして東の国か?
そっちもそのうち目指してみるか。
「これで以上だが……少々厄介なことになっていてな」
「厄介?」
「どこぞの引きこもりが聞きつけてな。ミウロゥと会いたいなどとぬかしておる」
『私はいいんだけどね』
「そうはいくまい。アレの住む場所は人族ではかなり厳しい場所だ」
「そもそもアレが自分から言い出すなんて珍しいこともあったもんだ」
「……俺にもわかるようにしてくれ……」
3人だけで通じるってことは昔の勇者パーティーメンバーのことだろうけど、こっちはわからねぇんだ。
「妖精の森を聞いたことはあるか?」
「妖精? 異界人にもいるだろ」
「あ、リベットに説明し忘れてた。異界人の妖精族って妖精の森じゃない場所からでてくるんだよ」
「へぇ……じゃあ別モンなんだ?」
「そうそう。異界人の妖精族はフィーの街から始まるんだ。その街から更に西に向かうと妖精の森があるんだよ」
クランから説明を受けてようやく理解できた。
そういえばメインクエストにあったな。
「で、その妖精の森ってのに向かえばいいのか?」
「言うは簡単だが、行くのはかなり厳しいぞ。何しろあれの別名は惑わしの森だからな」
「焼いちまえばいいじゃねぇか。鬱蒼としてて鬱陶しいんだよなぁ」
「そのせいで戦争手前まで行ったのはどこのバカタレだと思っておる」
『私がいなかったら大変だったよね?』
あ、リンコニがそっぽ向いた。
やらかしたんだな……
「まぁそういうことだ。すまないがなんとか手段を見つけて向かって欲しい」
「それはいいが……どうしたもんか……」
「なら俺様の街に来るか? もしかしたらなにか見つかるかもしれねぇぞ?」
「リンコニの街に?」
「今なら異界人もいねぇし、竜しかいねぇからな。過ごしやすいはずだぞ」
なら行くとしようか、竜の街に。
どういうものかも気になるし。
「ラドバー、見送りだ」
「かしこまりました」
「リルナ、レルナ。こちらに来るといい」
ディモニがリルナとレルナを呼び寄せる。
「「お呼びでしょうか、魔王陛下」」
「そう固くならんでよい。2人にプレゼントだ。きっと役に立つだろう」
「あ、ありがとうございます……魔王、様」
「きっと役に立ててみせます、魔王陛下」
「うむ、それでよい。では帰りには気をつけろよ。俺は城の建築に取り掛からねばならぬ」
魔王がいる城……魔王城か……攻略は大変そうだな……
「リベット様、こちらになります」
「あぁ助かるよ」
ラドバーに案内され玄関口まで向かう。
またあの群れと対峙するのか……
「現在ミルリ様が掃除をなさっておりますので、そこまで不安になることないかと」
「掃除……アレを?」
「アレの説明は……クラウン様」
「帰りにでもしておくよ〜」
らしいので待つことにしよう。
「それじゃ俺様は出て直ぐにいるからな。とっとと乗り込んでこい」
「行きも帰りも済まないな」
「どうってことねぇよ。久しぶりに飛べてこっちは満足してるんだしよ」
リンコニはニカッと笑って外へと出ていった。
ならいいんだがな。
「それではリベット様。またのお越しをお待ちしております」
「ディモニにも言われたしな。暇を見つけたらまた来るよ」
ラドバーに手を差し出すと、驚いたような顔をしたものの、握手に応じてくれた。
今回もお読みいただきましてありがとうございます。
魔王はかつてミウロゥ達と一緒に旅をしたことがあるので、東の国にも行っています。
その時に手に入れた札になります。
森を焼きかけた事件は、竜王と魔女っ子があまりの鬱陶しさに焼いて森をなぎ払おうとして、シスターがなだめようとして、それでも止まらなかったため、ブチ切れた結果、森の1部が破壊されたという事件です。
これのせいで戦争になりかけたのですが、その一部分を花畑にしたり、妖精達の遊び場として提供することで事なきを得ました。
数年かかったらしいっすよ。




