ep.84
「ほう、これらが……風の噂には聞いていたが、とうとう創り出したのか」
「いずれはアレを打ち倒す存在として」
「いずれはアレを殺すための存在として」
「「私たちは創り出されました、魔王陛下」」
「ふむ……アレにはあとで話を聞くとしよう」
チラッとクランを見るとブルリと震え上がっていたが……まぁ、頑張れ。
「して、今はリベットの娘か」
「はい、名をレルナと申します」
「はい、名をリルナと申します」
「「私たちは2人で1つ。ジョーカーでありながら、お父様の娘でもあります」」
「良い娘を持ったな、リベットよ」
「俺には勿体ないくらいのな」
椅子から降りて2人の肩をそれぞれ抱き寄せる。
「娘か……」
「お、なんだ? お前もそういうのが気になるのか?」
「馬鹿を言うでない。この俺にそういうのはいらんと言ったら何度わかる。そういうリンコニこそそろそろ後継者が必要ではないか?」
「ハッ! ならこの俺様をぶっ倒してから言ってもらいたいもんだな! そうなるとリベット、お前どうだ?」
「なんでそんな面倒なもんやらなくちゃいけねぇんだよ」
リンコニに対してそう言うと、冗談だと笑っていた。
半分くらい本気だっただろ、今の。
「して、その後はどうだ?」
「王都に入ってクランと出会ったんだが……喧嘩を売ってて少し大変だったな」
「喧嘩じゃなくて戯れあいだってば! む? 愛かもしれないね!」
「ミウ」
『粉微塵にしたところでケロッとした顔で立ってるけど?』
腕は切ってたけど、粉微塵にもしたのか……
「まぁ、ソレに関しては俺が後で何とかしておこう。それよりも続きだ」
「王都はそんな感じか? あとは馬車を手に入れてな。アクトカバロという種の馬で、名をロクトというんだ」
「ほう、あの暴れ馬をか。クラウンならば確かになんとかできよう」
「の割に頭をやたらと齧られてるけどな」
「……フッ」
魔王が少し向こうを向いて鼻で笑った……
変な想像でもしたか?
「ま、まぁいい。して?」
「その後は火山まで街に寄ったり道中でボスモンスターを倒したりしたな。マッチョゴリラなんてのもいたし」
「マッ……なんだと?」
「マッチョゴリラだよ、ゴリラ。筋肉ダルマきてるだろ? あれのゴリラ」
そう言うと思いっきり笑いだした魔王。
でもそのまんまなんだよな……
「あ、アレがゴリラ……ブフッ、言い得て妙というのはこの事か……ブフフ!」
「ダーハッハッハッ!! ご、ゴリラ! あの筋肉ダルマのゴリラか! バーハッハッハッハッハッ!」
『まぁ、たまに変なポーズ取ってたしね』
どうやらあまりに面白かったようで腹を抱えて笑い出している魔王と竜王。
リンコニに至っては床で転がってるし。
どうすりゃいいんだよ……
「ふー……いや、失礼した。あまりに面白すぎたものでな」
「そりゃよかったな……」
「それで次が火山か」
「ガーディアンゴーレムを笑わせたり、リンコニの配下に帰らされそうになったり大変だったがな」
「アレは放っておけ。帰ったら俺様からキツく言いつけておく」
「ふむ……まぁいい。リンコニとはどう戦ったのだ? 試練を受けたのだろう?」
「ぶっ倒せとか無茶振りしてくるから大変だったぞ……」
「の割に随分楽しそうだったじゃねぇか」
テンションが上がってたのかもしれないな。
柄にもなくハイテンションだったような気がする。
「とりあえず拘束して、頭の上からアダマンタイトの棍棒を落としただけだよ」
「アダマンタイトだと?」
「アレすげぇ痛かったんだよなぁ……今もまだこぶが残ってやがる」
「またあの筋肉ダルマか」
「筋肉ダルマからもらったぞ?」
「……あとで言い聞かせておこう」
リンコニは頭の後ろをさすってるし、魔王は考え込んでいるし……
「なるほど、お前の旅が随分と愉快なものだと言うことはわかった」
「愉快……まぁ、楽しい旅ではあるか」
「この俺を笑わせた褒美だ。宝物庫から好きなものを選ぶといい」
そう言って魔王は立ち上がる。
え、俺何も食べてないんだが……
「食事は後だ。ラドバー、保存しておけ」
「かしこまりました」
そして再び引きずられていく俺。
だから誰か助けてって。
今回もお読みいただきましてありがとうございます。
ホワンホワンホワン、って感じで筋肉バカとゴリラが合体してる想像をした魔王様と竜王。
ちなみに魔王様がクランのことを"クラウン"と呼んでいるのは訳があります。
リベットは気のせいか? くらいにしか思っていません。




