ep.83
「さて、リベットよ。話を聞かせてもらおうか」
「それはいいんだが……ここで?」
「もちろんだ。俺は話が好きなんだが、ここでは話し相手もそうおらん。対等で構わん。お前のこれまでを話してみろ」
なぜか椅子と椅子を向き合わせて俺と魔王ディモニが向かい合って座っている。
対等って。
話し相手って。
無茶を仰る……
「それじゃ……あー、この世界に、地上世界に降り立った時から話そうか」
「ふむ、続けろ」
「気づいたらだだっ広い草原にいてな、とりあえず歩いてたらヘクサと出会ったんだよ。あった時は老婆っぽく喋ってたのにすーぐボロをだしてな……」
「ククク、アレも少しは背伸びをしたい年頃よ。もっとも背は伸びなんだが」
「……で、案内された所がミウロゥの故郷の村で、そこで出会ったんだよな」
まるで観客のように丸テーブルの近くに座っているミウロゥに声をかける。
というか俺もそっちがいいんだが?
『そうだね。リベットの話が上手すぎてビックリしたよ』
「そういえばミウロゥよ。いつの間に喋られるようになったのだ。先は驚きのあまり聞けなかったが……」
『それはリベットが言ってくれるよ。お願いね』
自分で言うつもりは……ないな、ありゃ。
テーブルの上に置かれたグラスに手を伸ばしてるし……
「まぁ、そこでミウロゥの昔話を聞いて、ここがでてきたんだよ。俺も自由に旅がしたくてフリヘイトの世界に来たからさ」
「ふむ、それでわざわざリンコニがいる火山までか。他はどうだ? まだまだあっただろう」
「東の果てとか妖精の森とかか。まぁそっちもいずれはって感じだな」
「東の果てか。アレは今でも引きこもっているのか?」
「この間風に乗って便りが飛んできたぞ。暇だとな」
「ククク、ならば外へ出れば良いものを」
「灰になるだろ……」
リンコニが呆れた声を出しているのを初めて聞いたかもしれない。
「リベットよ、続きはまだか」
「お、おう。で、あーそうか。その前にヘクサがミウロゥにプレゼントして、今みたいに会話ができるようになったんだ」
「なるほどなるほど。アレも相当勇気を振り絞ったに違いない」
「もう一滴も出なさそうだがな!」
「違いない」
魔王と竜王が互いに高笑いをする。
仲良さそうだな?
「そこから全員別れてそれぞれの道を進んで、俺とミウロゥは一緒に旅をしているんだ」
「なるほどな。それであの筋肉ダルマが突然やってきたのか」
『迷惑かけたね』
「いやいや、構わんとも。アレも外で大暴れしておるし、こちらとしても都合がいい」
アイツあんな化け物とやり合ってるのか……
やっぱり相当強いんだな。
「その後はどうだ?」
「月光の森っていう場所で、花を取りに行くことになったんだよ。ミウロゥに引きずられるようにしてな」
『あれの方が早かったし』
「ほう?」
「で、プロテージャーとミウロゥが戦ってる横で俺はコックベアーに背中をガリガリされてた訳なんだが……」
そこでリルナとレルナに手招きをする。
2人がトコトコと俺に近寄ってくる。
「トランプの兵士、その中のジョーカーだ。この2人と兵士達がいなければ俺はまだどこかにいただろうな」
「「お初にお目にかかります、魔王陛下。道化のクラウンより創り出され、今はこちらにいらっしゃるリベットお父様の僕です」」
2人が声を揃えて魔王へと挨拶をする。
最後のはどうかと思うが。
今回もお読みいただきましてありがとうございます。
お話大好き魔王様。




