ep.79
まさかアダマンタイトの棍棒がこんな形で役に立つとはなぁ。
「ではお父様、地上へと降りますわよ」
「あぁ、頼むよ」
ゆっくりと地上へと降りた途端に夜空は元の天井に戻っていた。
あの種もとんでもなかったんだな。
「にしてもよく分かったな?」
「あら、お父様の考えることくらい察して当然ですわ。ですが、キングから何を囁かれましたの?」
「ヤツの弱点は頭だ、上からなにか落としてやれ、だとよ」
「それで上へあげて欲しいなどと仰られましたのね」
三日月花が空に浮かび上がった時にコッソリ頼んで、竜王に気づかれないよう上空へ飛び上がる。
行き当たりばったりの作戦だったが……どうにかなって助かったぜ。
どうにもならなかったら……まぁ、その時はその時だな。
「俺がシルクハットから何かを落とそうとしたのはブラフ」
「私、もといレルナがお父様のスーツケースを持っていますもの。お父様自身に落とせるはずもありませんわ」
「あとはどうやって棍棒を落とすかだったが」
「そこは抱きついた時にコッソリお父様の手にスーツケースをお渡しして、気づかれないよう私に渡していただいたのですわ」
「以上がショーの種明かしだな」
「ですわ」
クスクスとエルナが笑う。
俺たちの目の前には頭を擦りながら人型へと姿を変えたリンコニが立っていた。
「見事だった。よもやあのような方法で俺様を倒すとは思わなんだ」
「で、試練の結果は?」
「言うまでもない。お前たちは俺様を倒した、ならば話を聞きその願いを叶えるのが俺様の役目よ」
これでようやく地底世界に行く算段がついたな。
あっちで何が待っているかは分からんが……
「それにしてもどうやって空中に浮いていたのだ?」
「私もリンコニ様ほどではありませんが、多少は空間魔法に覚えがありましてよ?」
エルナがそういった時、彼女の身体が光り始めた。
「あら、そろそろお時間ですわね。お父様、名残惜しいですが、私はここで分かれるとしますわ」
「そうか……それは寂しくなるな」
「フフフ……ですが、お父様が望まれるのであれば、いつか、そう遠くない内にまた会えると思いますわ。私たちはお父様の娘ですもの」
エルナが片手を胸に当てお辞儀をする。
瞬きをした時には、既にエルナの姿はなく、そこにはレルナとリルナの姿があった。が、
「おかえり2人とも。随分と髪が長くなったな」
「ただいま戻りました、お父さん。髪、ですか?」
「ただいま、パパ。髪……レルナ、髪が長いよ?」
「そう言うリルナも凄く長いですね?」
不思議そうにお互いの髪をペタペタと触っているリルナとレルナ。
まぁ腰まで伸びているしな。
レルナは真っ赤でリルナは薄い青色か。
似合っていていいじゃないか。
今回もお読みいただきましてありがとうございます。
助けてくれ、この子のこと好きになっちまう。
近いうちに会えますよ、ええ。




