ep.75
「さて、長話もなんだ。案内しよう」
「移動するにもこの先マグマだが……」
「本来はそれを何とかするのが冒険者の役目なのだ。だが今回はミウの仲間ということで、特別扱いだ。内緒だぞ?」
リンコニが空中を払うようにゆっくりと腕を振るう。
すると、俺たちの体が浮かび上がった。
【竜の住処】
〘火山の中、マグマを超えた先に竜達が暮らす住処がある。燃えたぎるような熱さと身も心も燃やし尽くす溶岩を超えし者にだけ、道は切り開かれる〙
「こ、これは……」
「空中浮遊の魔法だ。空間魔法を覚えることで使えるぞ」
下を見ればマグマが煮えたぎっている。
その上を飛んでいる感じで……なんというか不思議な感覚だな。
「お、お父様! 空を、空を飛んでいます!」
「うぅ、高いのです……」
レルナははしゃいでいるが、反対にリルナは怖がっている。
「もう少しだ、幼子よ。ほれ、見えてきたぞ」
「あれは?」
「俺様の部屋だな。いわゆる謁見の間と言うやつよ」
【竜王の間・謁見広場】
〘部屋の奥には竜王が座る巨大な玉座がある巨大すぎる部屋。外からは至って普通の洞窟にしか見えないが、中は魔法によってかなり拡張されている〙
外からだと洞穴にしか見えないが、中に入った途端、洞窟ではなくとんでもない広さをしたホールになっていた。
天井にはシャンデリアがぶら下がっているし、目の前には遠くからでもわかるくらいに巨大な玉座があるし……なんだここ?
「凄く広いな……」
「まぁ元の俺様が立っても問題ない広さだからな。さて、リベットよ」
少し先を歩いていた竜王がくるりとこっちを向く。
「ここにたどり着いたからには何かしらの目的があるんだろう。だが、話を聞く前にするべきことがある」
「するべきこと……?」
『リンコニ』
「わかっているとも、そうおっかない顔をするな。だがな、これは由緒正しき試練なのだ。お前もかつて経験しただろう、ミウ」
試練、か。
そう簡単にいくとは思わなかったし、予想通りだな。
だが問題は、
「試練の内容が気になるって顔だな。そう慌てるな、まずは腹ごしらえからだ」
「そんなノンビリでいいのか?」
「試練は逃げやしねぇが、空腹は待っちゃくれねぇだろ?」
そう言って両手を2度叩くリンコニ。
部屋の両端に設置してある扉が勢いよく開き、沢山のメイドが慌てることなくそれでいてスピーディに場を整えていく。
今回もお読みいただきましてありがとうございます。
次回、飯回。




