ep.74
リルナとレルナを手元に寄せて、クランに手招きをする。
「見ての通り、こっちにはあの道化師様がついているんでな。言っちゃなんだが、俺が頼めばアンタなんて馬車を引っ張る馬にだってしてくれるだろうよ。な、クラン」
「もちろん! 君のためならあんな竜よりもっといい馬を用意してあげようとも! 最もあれじゃ馬車を引っ張る馬にすら劣ると思うけど、プププ」
「お父様、ペットが欲しいのですか?」
「ちょうどそこにいいペットがいるのです」
「「竜も地に落とせば翼の生えたトカゲにすぎないのです」」
ちょーっと言い過ぎのような気がするが……まぁいいか。
『なるほどなるほど。ではここで燃えて塵となるがいい!』
竜が咆哮を上げ、俺はトランプを、リルナとレルナはステッキを構え、クランはニンマリと笑っていた。
「やぁ、竜王様! 君のところの部下が暴走しているけどいいのかな?」
『話は聞いていた。ラドン、下がれ』
『り、リンコニ様!?』
マグマで周りは赤いはずだったのにいきなり暗くなった。
顔を上げれば山みたいにデカイドラゴンがそこにはいた。
これが、竜王……?
『2度は言わぬぞ』
『も、申し訳ありません!』
ラドンは慌てるように翼をはためかせてどこかへと消えた。
しかし……デカイな。
『それが此度の仲間か、ミウ』
『そう、異界人のリベット。私を連れ出してくれたすごい人だよ』
こっちに顔が近づいてくる。
『……小さいな』
『人族だもの』
よーく見れば目をめちゃくちゃ細めてる竜王。
『うーむ、これではよく見えんな……』
『だからみんな言ってるじゃん。小さくなったらいいって』
『あれは窮屈ゆえ好きではないのだ。だが』
ボフンという音ともに辺りに煙が立ち込める。
しばらくすると、煙が晴れて
「これでようやく見える。俺様は竜王、名をリンコニという」
そこにいたのは高身長で老齢の男性だった。
髪は白髪、腕を組んで堂々とした態度で立っていて、どこか圧を感じてしまう。
「は、初めまして。リベット、です」
「そう怯えるな、普段通りで構わん。そこにおる道化と同じ……とまでは言わんが、普段通りにしてくれればいい」
「……なら、宜しく。リンコニ」
「それでよい。さて、先は若いのが失礼したな。どうにも最近の若いのは他の種族を侮りすぎてならん」
「他の種族……?」
「うむ。お前達のような人族、いや異界人達か。最近はここを目指してくる異界人達が増えておるらしくてな。それはいいのだが、弱者と侮っておるのだ」
「まぁ、俺は弱いし当然じゃないか?」
リルナやレルナ、クランがいなければ何も出来ないし、最初の方なんてミウロゥがいたからこそ何とかなったものだしな。
「そこなのだ。確かに俺様達のような竜族からみれば人族を始め、他の種族なぞ弱者にすぎん。だがな、初めからそう決めつけていては最後に滅びる。それが運命なのだよ」
「リベット、リベット。この竜の王様はね、以前までそうやって他を弱者だと決めつけていたんだけど、結果として種族全体が滅びる寸前まで行ったんだよ」
「主にお前のせいでもあるのだがな、道化よ」
「なーんのことか、クランちゃんわかんなーい☆」
絶対何かやらかしたな、こいつ。
それは後で聞くとして、
「それでリンコニがわざわざここまで来たのは?」
「何時まで経ってもラドンが戻ってこなんだ故に、俺様が出てきた。あとはミウの仲間とやらを早く目にしたくてな」
そう言って茶目っ気たっぷりに笑う竜王。
最後が本命だな?
今回もお読みいただきましてありがとうございます。
かつての勇者パーティーの1人……? 竜王のリンコニです。
彼の若い頃は空中で足をグルグル回転させて空中を走っていき、帽子がヒラヒラ落ちるのを画面外から手だけ伸ばしてキャッチする……というのは冗談で、体型も今よりかなり小さかったので、空を自由に飛び回って空中からブレスや空中から人をぶん投げたりしてました。
筋肉ダルマと吸血鬼だったので無事でした。




