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仮想現実の世界で自由な旅を 【完結】  作者: からくり
chapter1

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ep.71

渡された種は小さな種で至って普通だった。


「これを?」

「そう! これを……どう使うんだっけ?」

「おい」


当の本人が忘れちゃだめだろ。


『何をするつもりかは知らんが、攻撃した瞬間に交渉は決裂だぞ』

「……魔法はありか?」

『ダメージがないならいいだろう。まぁ、この身体を傷つけることはそうそう叶わんだろうがな』


とりあえずステッキの先端に種を仕込み、ゴーレムに向けて構える。


「『種よ、生長しろ』」


ポンッとステッキの先から花が咲いた。

白い花だな?


『ふむ、余興にしては悪くない。が、その程度で私が、が、が、ガックション!!』

「あぶなっ!?」


くしゃみの勢いで岩を飛ばすんじゃない!

危うく当たるところだった。


「あれぇ? それじゃこっちかな?」

「この花全然違うじゃないか……」


【粉塵花】

〘花が開く瞬間に花粉を撒き散らす。主に昆虫などの足に花粉を付着させることで広範囲に渡って繁殖する。


届いて、私の想い。風に乗ってあなたへと〙


「じゃあこっちだね!」

「……『種よ、生長しろ』」


今度は黄色の花。


『見ていて面白いがががが、その程度では、どどどどどど、どうしようも、もももももも、ないな、なななななななな』

「壊れちまったぞ」

「あるぇ?」


【麻痺花】

〘花から麻痺系の花粉を撒き散らす。吸い込むだけで麻痺になるため注意が必要。


私の想いに痺れて。あなたの心の奥底まで〙


クランが風をゴーレムの方へ送っているからこっちには飛んでこないが……さっきからヤバい種しかないじゃないか。


「ちゃんとしたやつはあるのか」

「あるよ、あるある! えーと……これだね!」

「次こそ……『種よ、生長しろ』」


今度は青か。


『い、いい加減にしてくれよォ……私が、私が何をしたって言うんだよォ……おーいおいおいおい……おーいおいおいおい……』

「わぁ! ゴーレムって涙の代わりに岩を流すんだね!」

「……わざとだろ」


【悲涙花】

〘花から花粉を常に排出している。吸い込むと悲しい気持ちになり、涙が溢れ止まらなくなる。


押し流して、私のこの想い。あなたに届かないように〙


「いやぁ、面白い面白い! 笑ったからこれで通れるよね!」

『そうはなっておらん。この私を笑わせてみろ、道化よ。次は無いぞ』

「だってさ。ということでどうぞ!」

「思ったんだが、お前がやれば良くないか?」

「それじゃ面白くないじゃないか! ボクはね、リベット。君のやること全てを目にしていたいんだよ。どんなことをやってくれるのか、どんな風にこの先を旅するのか。ボクの想像を常に上回る君だからこそ、ボクは君が好きなんだよ? ボクがやってもいい、確かにそうだ。ボクならこの塊くらい簡単に笑わせられるだろう。でもね、それじゃ面白くないんだよ」


真剣な眼差しで俺をじっと見つめながら、クランがそう言ってくる。

今回もお読みいただきましてありがとうございます。

クランはリベットに対して嘘だけはつきません。

それだけは確かなのです。

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