ep.7
2人はすぐに人数分の湯呑みを持って戻ってきた。
湯呑み……?
「随分と和風なんだな」
「わふう? 異界人ってこれをわふうっていうのね。これは東の果ての国に旅をした時に買ったものよ」
「ほー……この茶葉は?」
「こちらはその時に知り合った方が王都へ来てらっしゃいまして、その時に」
「ほぉー……」
いやまぁ、なんというか……美味すぎる……多分バフとか付いてる……
なんのバフが付くかは流石に今は確認できないけども。
「とりあえずリベットを近くの街まで送り届けりゃいいんだな?」
「あぁ、頼んだ」
「任せとけって! あの森は俺にとっちゃ庭みたいなもんだし、俺がいりゃ何も近寄ってこねぇよ」
「いで、いでででで!」
肩を強く叩くんじゃない!
「しかし美味い茶だな……東か……そっちに向かうのも面白そうだな」
「お? リベットはそういうのに目がないタイプか?」
「まぁな。面白くて楽しければそれでいいし、ついでに景色がよければもっと最高だな」
「ウチの大将と同じだな! あぁ、大将ってのはミウロゥのことだ。ウチのボスだからな」
ちょっと照れ照れしてるミウロゥさん。
そういうのは恥ずかしいのかね?
「あぁ、そこの筋肉おバカだけじゃ心配だし、私も着いていくわよ。どうせ王都の方に用事があったし」
「でしたら留守番はいつものように私とセトルとミウロゥで」
話がまとまったところでいざ出発……あの、
「ミウロゥさん? 離して貰えないと困るんだが……」
ガッツリ服の裾を掴まれていた。
コッソリ掴んでいるつもりなんだろうけど、すげぇ服が伸びているからな?
「……ミウロゥ」
セトルが声をかけるも首を横に振るミウロゥ。
その様子に他の3人はどうしたものかと狼狽えていた。
「自分たちの大将でしょうに……」
「い、いやその……」
「こういうのは初めて……というか……」
「今までこのようなことをされたことがなかったものですので……」
うーん……
「なぁ、ミウロゥ」
1度座り直してからミウロゥと向き合う。
「もしかして旅に出たいのか?」
俺の言葉に首を縦に振り、剣を左手で持ち上げる。
「実力はあるから問題ない? それはそうだろうな。さっきのを見たらそこは心配していない。だが、ほかの4人はどうするんだ? みんなお前に付いてきた仲間だろう?」
「リベット……」
セトルが、ソレーが、ミルリが、ヘクサが、俺とミウロゥを見る。
「旅に出たい気持ちは分かる。自由にあちこち行きたいからな。だが、お前には仲間がいる。その仲間と一緒じゃダメなのか? ダメってお前……」
今回もお読みいただきましてありがとうございます。
ヒロインですか? 実は違います。